【静岡のソウルフード】「たぬきむすび」製造の舞台裏! 悪魔のように超クセになる、あの“コンビニおにぎり”より、ずっと前から愛され続ける味!その請負人に密着(every.しずおか)
しゃもじで、空気を入れながら、やさしく、ふんわりと混ぜていきます。すばやく混ぜることがポイントで、わずか1分半ほどで、ごはんと具材がきれいに混ざり上がりました。まさに職人技!
この作業を20回以上繰り返し「たぬきむすび」1100個分、100キロを超えるごはんを1人で混ぜていきました。
(細沢良子さん)
「(お米は)重いですよ~。まんべんなく混ぜるには、結構時間がかかる」
この「たぬきむすび」が看板商品の天神屋ですが、その始まりはなんと250年以上も前の江戸時代。最初は小さなひな人形店でした。
“天神屋”という名前は、ひな人形の天神様に由来します。その後1954年に、まかないで提供していたおむすびやいなり寿司を、店頭で販売したのがきっかけで、現在のような業態となりました。
そして「たぬきむすび」も、まかないだった“たぬきご飯”から生まれた商品ですが、販売がスタートしてから約50年、いまでは県民に愛されるソウルフードとなりました。
(客)
「ここに来ると食べたくなる。飽きない味でおいしい」
「何か分からないけど、1回食べたらハマっちゃって。私がたぬきむすびを食べたいので一つ買いました」
待ちわびるファンのため、細ちゃんは毎日一つ一つ丁寧に作っていきます。
そんな細ちゃんも62歳。人気の「たぬきむすび」の味を引き継いでいくため、いま、弟子の育成にも力を入れています。
石川有紀さんは、弟子になって5年です。週に1度、一番大切な具材を混ぜる作業を、細ちゃんから教わっています。
(細沢良子さん)
「混ぜ方とかを分かるのは、有紀ちゃんしかいない」
(石川有紀さん)
「優しい人です。怒らずニコニコして教えてくれる。細ちゃんが守ってきたおむすびを、私も受け継いでいけたらいいなと思っています」
ふっくら混ぜるのは難しく、5年経った今も「まだまだ修行中」だといいます。
おむすびを作るリズムを崩したくないと、途中で休憩をはさまず、作業は夜通し行われました。空が明るくなり始めた午前6時前…トラックに作りたてのおむすびが積み込まれ、県内各地の店舗へと運ばれて行きます。