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“お茶王国”復活の切り札となるか!?富士市で広がる「ほうじ茶」「和紅茶」ブランド化の取り組み(静岡)

2025年6月4日 17:33
“お茶王国”復活の切り札となるか!?富士市で広がる「ほうじ茶」「和紅茶」ブランド化の取り組み(静岡)

“お茶王国”と呼ばれる静岡県ですが、これまで首位を守り続けてきた「荒茶生産量」で、2024年、初めて児島県に抜かれてしまいました。

ライフスタイルの変化で煎茶を飲む機会が減る中、“新たなお茶の需要を開拓してお茶王国・静岡を守りたい”と、新たな切り口で活動している人たちが静岡・富士市にいます。それは、お茶を“緑茶”としてだけではなく「ほうじ茶」や「和紅茶」として、ブランド化を進めているのです。

2021年に「富士市ほうじ茶宣言」を行い、「ほうじ茶」のオリジナルブランド「凛茶(りんちゃ)」を開発。市内の飲食店では、富士の「ほうじ茶」を使ったグルメやスイーツが、100品以上、販売されています。さらに2025年1月には、富士市の「和紅茶」に特化したカフェもオープン!「ほうじ茶」に続けとばかり、積極的な動きを見せています。

「エブリィライフ」は、“お茶王国・静岡”復活の切り札は「ほうじ茶」と「和紅茶」!?富士市で広がりを見せる、お茶活用の新たなカタチとその魅力に迫ります。

富士市大淵にある「JAふじ伊豆茶業研修センター」。ここで行われていたのは「ほうじ茶」の焙煎作業。このように煎茶を焙煎することで、独特な香りを放つ「ほうじ茶」に仕上がります。

(茶農家 西村 有平さん)
「浅いりらしさを出すなら若干下げた方が…」

(茶農家 山田 典彦さん)
「温度をね…」

これは、富士市のブランド「ほうじ茶」「凛茶」の開発に携わった茶農家の皆さんです。

「ほうじ茶」は、お湯の温度などいれ方に手間がかかる「煎茶」に対して、熱湯を注ぐだけの手軽さが魅力です。そんな「ほうじ茶」の可能性に期待して、「凛茶」の商品化だけでなく、2024年2月には、「ほうじ茶」に特化した会社まで立ち上げてしまったのです。

(日本茶茶茶 山田 典彦さん)
「『ほうじ茶』の認識が増えてきて、『ほうじ茶』を飲んでくれたり買ってくれているというのはいろいろなお茶屋から聞いているので、きょうは『煎茶』、きょうは『ほうじ茶』とか、そういう楽しみが増えたのかなと思っている」

そして、4月には新たな戦力を迎え入れました。それが、道倉健太さん。実は道倉さん、3月までは、富士市の職員として、茶に関する取り組みを行政面から支えてきて「ほうじ茶宣言」の仕掛け人でもあります。

(日本茶茶茶 道倉 健太さん)
「令和2年から『富士ほうじ茶』のブランド化を農政課としてやってたで中で、5年間のプロジェクトだった。令和7年4月からは、市が敷いたレールに民間が列車として走ってもらおうと考えてたので、いいタイミングだったので、自分が民間になって進めていこうと考えて…」

(日本茶茶茶 西村 有平さん)
「生産者目線とは違った視点で、ものごとを考えられるので、新しい風が吹く感じがして、かなり期待しています」

(日本茶茶茶 道倉 健太さん)
「ありがとうございます。がんばります」

そんな、富士市の「ほうじ茶」を気軽に楽しめる店が、山田さんたちが2024年11月にオープンさせた「ほうじ茶」専門店「茶舗・焙焙焙」。

店内には「ほうじ茶」の関連商品が並び、カフェメニューには「ほうじ茶」を使ったドリンクなど、約20種類をそろえ、まさに富士市の「ほうじ茶」のアンテナショップです。

中でもおすすめというのが、「ほうじ茶ラテ極」。「ほうじ茶」シロップとミルクに、その場でたてた濃厚な「ほうじ茶」を合わせて香りを際立たせた一品です。さらに、「ほうじ茶」の粉末を練り込んだ「あんこ」をトッピングした「ほうじ茶団子」も人気です。

(日本茶茶茶 道倉 健太さん)
「これからは、もっと多くの人、特に富士市民の人に『ほうじ茶』を愛してもらいたい。5月からは『谷島屋富士店』で富士の『ほうじ茶』を取り扱ってもらっているが、お茶屋に行くのは結構ハードルが高い。だけど本屋だったら手軽に行けるので買いやすい。そういう店を増やして、多くの場所で富士の『ほうじ茶』を扱ってもらえるようにしたい」

道倉さんの加入で、さらにパワーアップした富士市の「ほうじ茶」のブランド化計画。今後は、海外進出を視野に活動を続けるそうです。

そして、「ほうじ茶」に続けとばかりに注目されているのが「和紅茶」。

「和紅茶」は製茶の過程で茶葉を「緑茶」のように蒸さずに発酵させて作るお茶で、原料は「緑茶」と同じです。

ここは、富士市今宮にある茶園「秋山園」。

(取材ディレクター)
「『和紅茶』が並んでいます。かなり種類が多いです」

この茶園では、約20年前から「和紅茶」に力を入れていて、今では10種類を超える品種を「和紅茶」用に栽培しています。

(秋山園 秋山 勝英さん)
「(紅茶は)日常生活の中で割と入りやすい。実は、和食にも合うのでは…私は、おにぎりにも合うと思うし、カレーにも合いますね」

そんな、いろいろな食事に合わせやすい「和紅茶」は、静岡茶復活の切り札になるのでしょうか?

(秋山園 秋山 勝英さん)
「なり得ます、特に若い生産者、早く気が付いてほしい彼らが(和紅茶が)面白いと分かってくれれば、可能性は十分あります」

1月には「和紅茶」専門のカフェ「紅茶店367」をオープン。富士市産茶葉を使った「和紅茶」と手作りスイーツが楽しめます。オーナーの掛橋さんは、大の「紅茶」好きが高じて店をオープンさせました。

(紅茶店367 オーナー 掛橋 つかささん)
「地元で新鮮なものを飲めるのはすごく贅沢だと思うようになって、せっかくなら地域振興も兼ねられるのかなと思って、店を始めることにした」

富士市内の茶農家と連携して、何と15種類もの「和紅茶」を用意。メニュー表で、それぞれ香りや味の特徴を紹介しているので、自分好みの「和紅茶」を見つける楽しみがあります。

(紅茶店367 オーナー 掛橋 つかささん)
「お待たせしました。『和紅茶3種試飲セット』です」

おすすめは、15種類の中から3種類を選んで、さらに、富士市産の茶葉を使ったプリンも味わえるお得なセット。

(紅茶店367 オーナー 掛橋 つかささん)
「この3種類は、違う茶農家のものを選んだ。ちょっとずつ個性が違うのが、飲み比べてもらうと分かりやすいかなと思う。お茶どころ静岡の印象というのは、全国の人が持っていると思うが、他のものも選べるみたいな選択肢が広がって、『緑茶』が好きな人とか『和紅茶』が好きな人とか、『ほうじ茶』が好きな人みたいに、見つけてくれるきっかけになるといいなと思っている」

「ほうじ茶」や「和紅茶」といった静岡茶の新たな楽しみ方が、お茶の需要拡大と、“お茶王国”復活へのきっかけになることが期待されます。

最終更新日:2025年6月11日 12:05