「合短指症」左手に障害がある空手少年 “蹴り”を武器に全国3連覇! 北海道小樽市
左手に生まれつき障害がありながら、空手の全国大会で活躍している少年がいます。
拳のハンデを乗り越え、大会3連覇を狙う少年に密着しました。
空手道場で汗を流すのは、小樽市の中学3年生・小嶋隼飛さんです。
小学校入学前から空手を始めた隼飛さん。
生まれつき左手の指の一部がない「合短指症」という障害があります。
(小嶋隼飛さん)「この二つの指がつぶれちゃって痛いんですけど、痛みと向き合いながら練習して頑張って耐えてやっていました」
たゆまぬ努力の結果、実力は折り紙付きです。
自宅にはこれまで全国大会で獲得したトロフィーが。
(小嶋隼飛さん)「トロフィーだけでいうと30個くらいですね。メダルは全部合わせたら60、70くらいです」
全国トップクラスの選手に成長した隼飛さんですが、かつては左手の痛みからパンチを打てずに押し込まれ、負けてしまうこともありました。
そこで活路を見出したのが、蹴り技です。
相手を吹き飛ばすほどの威力がある「前蹴り」や、軌道が読みにくい「後ろ回し蹴り」など、多彩な蹴りを地道に練習し、自分のものにしてきました。
(小嶋隼飛さん)「左手が小さいから打ったらちょっと弱かったりするので蹴りを中心に」
空手着を脱げば普通の中学3年生です。
年明けには高校受験を控えています。
(小嶋隼飛さん)「ちょっと勉強しないとまずいなと思います。教えてもらいながら」
空手だけ、というわけにはいかない時期ですが、実は3連覇がかかった大切な大会を控えていました。
東京で開かれた全国大会・武将杯です。
3回勝利すると優勝が決まる大事な初戦。
試合中盤に隼飛さんの膝が相手の顔を捉えます。
この技ありが決め手となって勝利を収めると、続く2回戦は相手選手が棄権。
そして迎えた決勝戦の開始直後。
前蹴りがヒット。
その後も胴回し回転蹴りを放つなど、持ち味の蹴り技で試合を組み立てます。
(小嶋隼飛さん)「3回連続同じ決勝戦の相手でした。パンチより蹴りという意識を持って」
1分半の激闘の末、隼飛さんが見事判定勝ちを収めました。
(小嶋隼飛さん)「左手に障害があっても勝てるということを子どもたちに教えたいので、大人になったら自分の空手を小さい子たちに教えたりしたい」
ハンデがあっても自分次第で目標は達成できる。
隼飛さんは将来、空手の指導者として伝えていきたいと新たな夢を描き始めています。