“柿の種” 誕生から100年 ライバル8社が異例のコラボ そのワケは? ひと粒に個性と奥深さあり!? 《新潟》
11月、県内の米菓メーカー8社の柿の種を集めた記念ボックスが発売されました。
新潟を代表する米菓のひとつ「柿の種」。それぞれのメーカーが工夫を凝らす中、ライバル会社がコラボしたワケに迫ります。
「柿の種」の形をした大きな箱。
中に入っているのは県内8社のメーカーが販売する「柿の種」です。
同じ商品を扱うライバル社が一堂に会した、そのワケとは……
〈浪花屋製菓 瀧澤健人さん〉
「ことしが柿の種が誕生して100年の年です」
そう!柿の種が誕生してことしで100年。
それを記念して各メーカーがコラボし、それぞれのイチ押しを集めた詰め合わせが発売されたのです。
11月2日から県内のみやげ物店などで販売したところ、すぐに完売。12月上旬からの再販を予定しています。
大正、昭和、平成…そして、令和の時代もなお愛される「柿の種」。
訪ねたのは柿の種の元祖、長岡市の「浪花屋製菓」です。
きっかけは100年前のある出来事でした。
〈浪花屋製菓 瀧澤健人さん〉
「創業者の奥さんがアクシデントで金型を踏んでしまって。それが三日月形に変形してしまい、それをそのまま使い続けていたところいまの柿の種の形」
1924年。浪花屋の創業者、今井與三郎さんの妻・さきさんがあられ作りに使う金型を踏んでしまいます。当時、高価だった金型を新調するわけにいかず、そのまま使ったところ果物の柿の種に形が似たあられが誕生。それが、のちの「柿の種」になりました。
〈浪花屋製菓 瀧澤健人さん〉
「硬さもしっかりあるなかで唐辛子の効いたすこしピリ辛の柿の種が当社の味になっています」
缶に入った商品は贈り物としても人気を集め全国に誇る新潟の味となっています。
〈購入した人〉
「お茶碗にご飯を盛るようにみんなが食べるから小さな袋じゃだめなんですよ」
こちらの女性、この日、2キロ以上を購入していました。忘れられない思い出があるといいます。
〈購入した人〉
「私ここ(浪花屋製菓)のお嬢さんに中学の時に一緒だった方がいて(家に)行くと柿の種がお茶菓子に出て。私らの生活に食べたことのない時代にあったお菓子だったんです」
その後、県内の米菓メーカーが独自の商品を発売。「柿の種といえば新潟」として定着していきました。
今回、詰め合わせに参加した小千谷市の竹内製菓です。
看板商品は50年間、製法と味を守り続けている「極上柿の種」。
〈竹内製菓 吉田貴史さん〉
「こちらは国内産のもち米を100パーセント使用して生地の旨みなどをしっかりと感じられる大粒の柿の種になっています」
モチを固め型で抜いてからゆっくりと乾燥させるなど出来上がるまでに1週間ほどかかる、こちらの商品。
(リポート)
「とにかく大きいですね。見た目からのインパクトがすごいです。いただきます。あとからおコメの香ばしさがふわっと香りますね」
各メーカーが工夫を凝らし切磋琢磨しながら今も独自の商品を開発しています。
〈竹内製菓 吉田貴史さん〉
「柿の種は皆さん辛いものというイメージが多いんですがこちらは塩味の柿の種。この商品も20年近く販売している商品なんですが最初は本当に販売に苦戦しました」
ひと言に「柿の種」といえど、こだわりの一粒は異なる個性を持つ。
異色のコラボには魅力や奥深さをもっと知ってほしいという願いが込められています。
〈竹内製菓 吉田貴史さん〉
「各社それぞれの良さがあると思いますし、新潟独自の物だと思いますのでこの柿の種がもっと日本中、世界中に広がっていったらいい」
偶然の出来事から誕生し、ことしで100年。
新潟を代表する米菓の歴史に思いを馳せながらそれぞれの個性と奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。