【特集】マスターは“聴覚障がい者” 音のない世界で生きる「生きづらさ」 39歳男性の新たな挑戦《新潟》
倉又さんにも大切な“居場所”があります。長岡市にある倉又さん行きつけのカフェ「scene coffee roaster」
スマートフォンに文字を打ち込み注文を伝えます。カフェを営む店主の人柄そして店の居心地の良さから常連になりました。
【倉又司さん】
「バッチリ!」
「私は耳が聞こえないけどあまり気にせずゆっくりできる大事な場所です」
【コーヒー店店主・平山拓弥さん】
「普通に接してもらいたいと思っている方が多いのかなと思うのであまり特別扱いとかはないようにしていますね。みなさん平等に接するようにしています」
会話をする際も使うのはスマートフォンのメモ機能……
<コーヒー店店主・平山さん>
「これはエチオピアの豆を使っています」
<倉又さん>
「やっぱりおいしいです」
<コーヒー店店主・平山さん>
「勉強熱心ですもんね」
<倉又さん>
「そちらには勝てません」
カフェを営む者同士コーヒーの話題で盛り上がります。耳が聞こえなくても心が通う大切な“つながり”
【倉又司さん】
「(平山さんは)障害者という見方ではなくて私個人として付き合ってくださるのでとてもありがたいです」
聴覚障害は見た目では分かりづらいため日常生活は苦労の連続です。その苦労はスーパーでの買い物でも
【倉又司さん】
「今みたいに欲しいものがどこにあるか分からないときに、店員に聞けば楽だと思うんですけど聞きづらいので」
カバンには耳が聞こえないことを示すキーホルダーをつけています」
「慣れれば分かるかもしれませんが慣れたくもない気持ちもあります。不便に慣れるのもどうかなという気持ちもあるので」
音があふれている社会……ただ受け入れてしまえば聴覚障害者の生きづらさは消えない。現実に抗いたい気持ちもあります。会計の際には店員との会話がいらないセルフレジに自然と足が向かいます。
【倉又司さん】
「『袋は必要ですか?』と聞かれることがあります。なかなか答えづらいので大変だなと思って。それだったらセルフレジの方が聞かれることは全部画面に出てくるので私的には楽だなと」
何気ない日常でも、耳が聞こえないことによる壁が立ちはだかります。