【特集】ラーメン1杯「1,000円の壁」 “適正価格”に悩む店主 煮干しの高騰で「もう限界」《新潟》
トビウオを強火で焼きあげた後、さらに15時間、弱火の炭火で水分を飛ばす佐渡の「あご節」作り。
しかし、トビウオの不漁や廃業する業者が増えたことで貴重なものとなり、いまでは1キロあたり9,000円。
他県で作られた「あご節」もかつて1キロあたり1,500円程だったものが4,000~5,000円程に。
さらに、併用しているイワシの煮干しも、この1年ほどで2倍近く価格が高騰しているといいます。
そこで店では今年5月に価格を改定。
それまで一番安かった醤油ラーメンは930円から税込で1,000円としました。
それに合わせて開発したのが新たな醬油ラーメンです。
店の看板でもあるあごだしを使わず丸鶏を使いました。
価格は950円。
もちろん、味には自信を持っていますが、葛藤もあったといいます。
月岡二幸さん
「お客さまの立場からしてみれば少しでも安いラーメンをひとつ用意しておかないと思いまして、今回苦肉の策でご用意したのですけど、初めての試みで。あごだしではないラーメンを出すというのは」
店の誇りでもある「あごだし」を手放してまで守った1,000円の壁。
ただ、ほぼ全ての人があごだしを使った1,000円以上のラーメンを注文してくれるといいます。
それでも毎月のように上がる原材料費。
月岡さんは今後のラーメン業界にも危機感を持っています。
月岡二幸さん
「誰かが先頭を切って突破口を開かないと本当にラーメン屋さんがなくなっちゃうんですよ。1,000円を超えないといいものも使えないし、僕らの後ろには業者の方、生産者の方がいっぱいいらっしゃるんですよ。そういう方も僕らが使うことによって守っていかないといけないと思っています」
日本が誇る食文化のひとつでもあるラーメン。
その文化を支えるため試行錯誤の日々が続いています。
2024年7月11日「夕方ワイド新潟一番」放送より