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【特集】「魚沼のコメ農家が“絶滅危惧種”に…」平均年齢68.9歳 高齢化と中山間地域の課題 ‟コメ王国”の危機《新潟》

2024年5月31日 20:02

■続出に大規模農家も限界…辞める田んぼの引き取り

魚沼市で、家族や従業員あわせて8人でコメ作りをする関隆さん(72)。

桜井さんなどコメ作りをあきらめた農家の田んぼを受け継いでいます。
以前から規模の拡大を視野に設備への投資をしてきましたが限界があります。

〈魚沼市のコメ農家 関 隆さん〉
「新たに8軒の農家から田んぼ作ってくれということで仕事がきました。そういうのはあっちこっち。毎年毎年作ってくれ作ってくれという要望が多くて」
「結局、高齢化。それから最近の米価は上がらない。肥料、農薬、燃料、みんな上がっていく。ますますもうけが出ない。もうからない。そして、一番心配しているのが、コメ作りは機械が命。それがものすごく高くなった。4~5年前より1.5倍。機械の更新ができないから、それで辞めていく農家も多くなると思います」

国の調べでは、県内で販売目的でコメを作る個人や法人の数は合わせて4万軒を下回っています。
法人化する農家は増えていると言いますが、過去10年を見ると、5年に1万軒のペースで減り続けているのです。

〈県地域農政推進課 志野 雄一郎 参事〉
「国内でも食料安全保障の声が大きくなっている中で、特にわが県はコメを中心に主食のコメを大規模に作っている県。食料の供給の基地と考えても、生産性は守っていかねばならない。そこの基盤になる農地はしっかりと守っていく必要があるだろう」

魚沼産コシヒカリのブランドを守りコメ王国としてのプライドがある……
しかし、関さんは危機感を抱いています。

〈関 隆さん〉
「魚沼産コシヒカリはありがたいことにブランド品で、うちも相当引き合いが強いです。でも、肝心の魚沼の農家がだんだん今の高齢化とか、担い手が力不足で、だんだんコメ作りから遠ざかっていく。このままじゃ絶対ダメ。何らかの手立てをしていかなければ、魚沼の農家は“絶滅危惧種”になっていくのかなと思うな」
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■引き取り手のいない中山間地域の田んぼ