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【特集】「魚沼のコメ農家が“絶滅危惧種”に…」平均年齢68.9歳 高齢化と中山間地域の課題 ‟コメ王国”の危機《新潟》

2024年5月31日 20:02

■引き取り手のいない中山間地域の田んぼ

激減するコメ農家……背景には中山間地域特有の課題がありました。

自然に囲まれた静かな山間。

長年、田んぼと向き合い“コメの声”がよく聞こえたと話すのは佐藤正行さん87歳。

丁寧に育ててきた田んぼに生い茂っていたのは水草。
ここは2023年、コメを作るのをやめた田んぼです。

兼業農家として土木工事の仕事にも就いていた佐藤さん。
体力には自信がありました。

〈佐藤 正行さん〉
「自分も声も出なくなったし足も弱くなったし、立っているのがやっとで仕事はできないから……」

長年、守ってきた田んぼですが、後継者はいませんでした。

〈佐藤 正行さん〉
「作ってくれる人がいたら任せようかと思ったけど作ろうかなんて人はいなかった。みんな年とって作る人がいないんだ。なかなか作ってくれる人もいない」

県は中山間地域の農業の在り方について検討を重ねています。
平地との生産性に差が生まれるとして国は中山間地に対し、格差を是正するための支援をしています。
しかし、規模を拡大しやすい平地は年々生産性を向上させているため格差は広がってきているといいます。

〈専門委員〉
「地域の営農者が5年後、10年後見据えた時に、ある集落協定だと3人ぐらいしか(残らない)」

〈県農林水産部 神部淳 技監〉
「新潟県という中山間地域農業と大きくかかわる県としてはベースとなる。中山間地域等直接支払制度の予算をしっかりと確保したうえで生産性向上に資する部分は別途の対策があっても然るべき」

体力の衰えを感じ、田んぼを縮小してきた佐藤さん。
これまで、他人が作ったコメは食べたことがありません。
今後は田んぼ1枚で家族が食べる分だけを作り続けます。

〈佐藤 正行さん〉
「いま頑張っている人たちだって若い人じゃないから。年寄りばっかだから、いつできなくなるかわからない。やっぱりさみしい」

世界に誇るブランド米を守っていきたい……

一方で直面する農家の高齢化や担い手不足。

“コメ王国”に課題を突き付けています。
最終更新日:2025年2月3日 11:17