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【特集】写真集「長野市の100年」発売② 出版したのは新潟県の出版社 なぜ新潟の会社が信州の写真集を出したの? 高くても手にしたい、長野市民注目のワケとは?

2025年2月27日 21:26
【特集】写真集「長野市の100年」発売② 出版したのは新潟県の出版社 なぜ新潟の会社が信州の写真集を出したの? 高くても手にしたい、長野市民注目のワケとは?
長野市の100年

発売日の前日、フロントを凍らせた1台の車が新潟から納品にやってきました。

いき出版 佐々木高史社長
「きのうの夜(長野に)入りまして、大雪だったので万が一に備えて。けさ8時から今、作業しています」

出版社の社長で、営業も担う佐々木高史さん。社長自ら書店を回り、この日だけで2000冊を納品します。

新潟県長岡市のいき出版。創業した17年前から、全国各地の写真集を中心に地域に密着した本を作っています。これまでに出した写真集は東日本を中心に25の県で240冊。

長野県ではすでに諏訪市や佐久市、小諸市などで出していて、今回の長野市の100年で10冊目です。

いき出版 佐々木高史社長
「今まで見たことがない、要するに発表されたことがない写真をどれだけ集めるかということに一番こだわっています。一から写真を集めたいので、新聞にこの本を作るので写真を集めていますという折り込みを何回もしました」

収蔵された写真は主に新聞の折り込みやホームページで提供を呼び掛けて寄せられたもの。そこから編集者が一枚一枚、写真が撮られた状況や時代背景を丁寧に取材し掲載。写真の提供者は185人にも及んでいます。(※今の地附山)過去に地滑りがあり、今はその跡地に公園が整備されている地附山。

昭和40年代に撮影された写真には、1961年=昭和36年に、善光寺御開帳に合わせて開業した「善光寺ロープウェイ」の姿が。山頂には、飛行塔などがある遊園地や動物園もあって、“市民憩いの場”としてにぎわいました。(※中央通り)同じころ、善光寺に通じる中央通り…。

道の両脇には店が連なり、当時からにぎわいの中心として栄えていました。店には当時はやっていたワインやお酒の懐かしい看板。今はなきアーケードは、買い物に便利だったといいます。

いき出版 佐々木高史社長
「実際にお客さんの声が来るんですよ。喜んでくださる方がすごく来て、いろんな失ったものというか、ないものをここで見つけたという喜び、その辺をお客さまが喜んでくださるので、できるだけいろんなところで本を作って、うちのやり方で本を作ったことによって喜んでいただけるのかなと」

その1枚1枚にそれぞれの思い出が詰まっています。

五十嵐康夫さん
「長野市の発展だよね、みんな」

長野市西鶴賀町で理容店を営む五十嵐康夫さん、75歳。見せてくれたのは、祖父や両親が撮りためてきた家族や町の写真です。

理容店は、五十嵐さんの祖父が明治36年に開業。現在も当時の建物のまま、店を営んでいます。今回、写真の存在を聞きつけた出版社から依頼を受け、4枚が掲載されました。

五十嵐康夫さん
「これ!弟が写っている写真で、その時の柳町保育園のお誕生日会です。この時代によく撮ったもんだと思って」

写真が撮られたのは昭和30年代。当時は子どもも多く、その数は、西鶴賀町だけでも200人近くに上ったといいます。

五十嵐康夫さん
「もうあっちこっち遊び場はでか騒ぎ。道路で遊んだり、それから裏のお稲荷さんの境内で遊んだり、昔は野球が盛んだったから、三角ベースとか狭いところで野球をやって遊んだり」

今から150年ほど前、長野市東鶴賀町にあった遊郭への一本道として整備された西鶴賀通り。その後、通りは栄え、沿道は飲食店などで埋まりにぎわいました。しかし、今では、戦前から続く店は五十嵐さんの店を含めて4軒のみ。空き家の数も増えています。

五十嵐さんが提供した写真の中には、昔、西鶴賀通りで撮られた祇園祭の様子が写ったものもありました。町の人から保存してほしいと、託された写真です。

五十嵐康夫さん
「残さなきゃいけないな、伝えなきゃいけないなと思いますよね。見た人がその時代、自分もああだったこうだった。子どもさんお孫さんと話ができればまたいいなじゃないかと思います。そのための写真集じゃないかと思います」

写真でよみがえる街と人の記憶。写真集を作ったいき出版の佐々木社長。長年大事にしているモットーがあります。

いき出版 佐々木高史社長
「男意気、心意気の“いき”出版という意味の「いき」なんですけどね。血が通っている泥臭い写真が載っているというのが良さで。思い出が詰まっているというか、ぜひ1ページ、1ページ、1年かけて見ていただければありがたいなと思っています」

出版社が出している写真集の中でも、今回の長野市の100年が一番写真が集まった。予約数もこれまでの中で一番多いとのこと。すごく長野市民の地元愛が感じられたと話していました。次は東信地域での企画があるそうで、また募集を見かけた際は協力してみては?

最終更新日:2025年2月27日 21:27