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【特集】馬術新種目で日本一 一人三役で奮闘 奥州市出身の馬術選手

2025年5月16日 18:28
【特集】馬術新種目で日本一 一人三役で奮闘 奥州市出身の馬術選手
奥州市出身の馬術選手、菅原権太郎さんが2024年秋、総合馬術の日本一を決める全国大会の新種目で優勝しました。選手、コーチ、大学職員の一人三役をこなす菅原さんの次なる目標とは?奮闘ぶりを取材しました。

菅原さん「これが去年、『内国産選手権』で日本一になった『桜豹』です」

奥州市出身の菅原権太郎さん30歳と、相棒の馬「桜豹」です。

菅原さん「まだ、お子ちゃまです」

神奈川県藤沢市にある日本大学馬術部の厩舎。日大馬術部は、2024年まで全日本学生馬術大会で14連覇中。国内きっての強豪校です。菅原さんはこちらのOBで、コーチも務めています。

菅原さんは去年11月、選手として兵庫県で開かれた「全日本総合馬術大会」に出場。日本で生まれた馬だけが出場できる新たな種目、「内国産」で自らが調教し、6年以上騎乗してきた「桜豹」とのコンビで初代王者に輝きました。

菅原さん
「すごい能力を持ってる馬がいたので、これはきた、と自分で育てた馬で優勝できたので、本当にはい、去年はすごくいい年でしたね」

中学までは「野球少年」でしたが、3年生の時に肘を故障して、野球を断念。偶然テレビの競馬中継で目にした競走馬のかわいさにひかれ、中学卒業後は当時県内で唯一馬術部があった県立水沢農業高校に進学します。まったく経験はありませんでしたが、いい馬にたくさん出会えたことが今につながっているといいます。

日大に進むと、4年生の時に「全日本学生馬術選手権大会」を制します。達成感はありましたが、高みを目指す思いは尽きませんでした。

菅原さん
「学生日本一といっても、まだまだ馬術競技は上手な人がたくさんいる競技なので、今度は本当のトップ(全日本)でまた日本一になりたいなという夢があった」

午前6時。菅原さん、平日は毎朝2時間、出勤前に馬術部員の指導にあたっています。

助走する菅原さん
「いいよそのまま、速歩(はやあし)出しちゃったら、そのまま駆歩(かけあし)でいいから。(カッカッカッカッGO!)もうそのまま障害おいで、駆歩(かけあし)出たら」

この日は、試合を直前に控えた部員に、馬のペースに合わせてゆっくり走らせることの重要性や障害物を飛び越えるまでの歩数の調整などをアドバイス。手綱の長さも、菅原さんの手にかかると…

菅原さん指導
「その手綱の長さで速歩(はやあし)を出してから、ちょっと手綱短くする時の方が出だしがいいかもしれない。そのまま速歩(はやあし)出しちゃって、そうそうそう」

朝練が終わり、訪れたのは、馬術部からほど近い日本大学・生物資源科学部。日中は就職指導課の職員として、就活対策講座の運営や企業対応など、学生の就職活動をサポートしています。選手とコーチ、大学職員と生活はハードに見えますが、そのおかげで、すべてがうまくまわっていると感じています。

菅原さん
「選手だけでも気づかない部分があって、学生を教えていたりすると、学生にもいい変化だったり、変わった姿を見ると、それも自分の技術にもつながってくるというか、自分の中でも気づきがあるので、なので、すごく合ってますね、教えながら自分も選手でいるというのは」

選手として練習できるのは学生の指導の合間のわずかな時間。

騎乗する菅原さん
「オッケー(ハードルを)2つ上げようか。なんか跳び良いな、きょう。めっちゃ上がる。気合入ってるね」

菅原さんのこだわりは、馬とのかかわり方。馬が試合にリラックスしてのぞめるよう、体全体を使って馬とのコミュニケーションを重ねます。

菅原さん
「人のことを信頼して馬ががんばろうという気持ちになったときは人馬一体の演技ができる。そこが好きなところ」

次の目標は、ことし11月に開かれる全日本大会での連覇。去年は4位だった馬の出生地によらない種目でも優勝を目指します。

菅原さん
「偉大なる先輩(=初老ジャパン)が92年ぶりにメダルとってるんで、馬術競技が盛り上がっている」「それに追いつけ追い越せで、もっと良いメダルの色をとれるように、次は私が出場して、メダルとりたいなと思います」

大好きな相棒と、日本一の感動をもう一度。その先に見据えるのは、オリンピックの舞台です。


最終更新日:2025年5月23日 11:53
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