人口4200人の山間の町「宮崎県美郷町」の魅力と課題をグラス片手に語りつくす!「&BAR26(アンドバーニーロク)」美郷町篇
続いて、美郷町の梅を使った南高梅梅酒も提供された。色を見ると、本当に綺麗な琥珀色をしている。香りがすごく芳醇。そしてキリっとして甘い。美郷町は寒暖差が大きいのが特徴で、色々なものが美味しくできるとのこと。特産品についても、まだまだ作っていきたいという意欲があるそうだ。
祭りや伝統も多く残る美郷町
美郷町は、古くから行われてきた祭りや伝統行事を現在でも続けている事でも知られる。
旧南郷村の「師走祭り」は、朝鮮半島の古代国家・百済の王族伝説に由来するもの。1000年以上にわたり連綿と受け継がれていて、百済王族である禎嘉王(ていかおう)とその息子の福智王(ふくちおう)が年に一度対面する儀式として行われている。
旧北郷村の「宇納間地蔵尊」は、約200年前に江戸の大火を鎮火させたという故事にならい「火伏せ地蔵」として祀られているもので、旧暦1月24日を中日とする3日間に開催される「宇納間地蔵尊大祭」には、大勢の参拝客が訪れる。
旧西郷村の「御田祭」は、五穀豊穣などを祈願する神事で、約1000年の歴史があるとされる。見どころは、2頭の馬が鞍をつけずに人を乗せて水田を駆け回る「牛馬入れ」で、しぶきを浴びると無病息災のご利益があると言われている。
課題は「発信力が弱い事」
土屋准教授は、「寒暖差が激しいというのは、一見、生活がしにくいのではないかと見られる側面があるが、だからこそ生まれるものがある。四季折々の顔があり、観光地としても魅力がある」と話す。
しかし、これだけ魅力ある資源を持つ美郷町だが、その魅力の発信力は、もう一歩なのだという。そこには何らかの理由があるのだろうか?一つの要因として長尾氏は、市町村合併の形を挙げた。2006年の合併は、旧南郷村、旧西郷村、旧北郷村の「対等合併」であり、「吸収合併」ではなかった。それ故に、「旧3村を平等に取り上げなければいけない」という力が働いているという。加えて、人手が不足しているので、事業そのものをまわすのに精いっぱいで、なかなか発信までできていない。これは美郷町だけでなく、全国的な問題かもしれない。