「津波警報が出たらすぐ避難」南海トラフ地震の新被害想定受け専門家が解説 とにかく避難すれば助かる命がある
続いて津波について見ていく。今回は、より精度の高い地形データを用いて算出したため、30センチ以上の津波が想定される面積が約1割広がった。津波高は串間市が最大で17m、津波の到達時間は日南市が最も短く15分だ。宮崎市では、これまでの国や県の想定より1分早まって17分になっている。
死者数を見ていくと、県内では最も被害が大きくなる冬の深夜に地震が発生した場合、最大で3万9000人が犠牲になる想定だ。 このうち津波による死者が約3万7000人と最も多く、次いで建物倒壊が約2000人、火災が約200人、急傾斜地崩壊が約40人となっている。
Q.津波による被害がほとんどを占めているが、これらの数字をどう捉えている?
宮崎公立大学准教授(観測地震学) 山下裕亮さん:
津波で3万7000人亡くなるという想定が出ているが、実は10年前からそんなに大きく変わっていない。国や県がいろんな整備をしてきた中で、意外と減っていない大きな原因は、「早期避難率」が関係している。地震が起きてからすぐに避難の行動に移っていない状態での数字で、いくら整備をしても皆さんの行動が伴わないと死者数が減らないことを意味していると思っていただければいい。
この3万人という数字は、発災後の早期避難率、すぐに逃げた人が20%だった場合の数字で、全員が発災から10分以内に避難をすれば、津波による死者を6000人にまで減らすことができる。 避難行動をするだけで、たくさんの命を守れるということだ。
とにかく警報がでたら「すぐ避難」
Q.新しい被害想定を受けて、山下さんが一番伝えたいことは?
宮崎公立大学准教授(観測地震学) 山下裕亮さん:
被害想定が今回また新しくなったが、被害想定に一喜一憂する必要はない。 やるべきことは、とにかく津波の危険性があるときには、強く揺れたときでも、弱く揺れたときでも、津波警報、大津波警報が出たら「すぐに避難」する。これが一番重要。避難することによって命を救うことができる。これをぜひ覚えていただければと思う。
(山下裕亮准教授)
宮崎公立大学。観測地震学が専門。日向灘の地震などを研究している。宮崎県地震専門部会委員
(テレビ宮崎)