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「許してもらう条件が坊主」元師匠からのパワハラで活動休止も裁判で勝訴 この秋、真打に昇進する「吉原馬雀」 笑いの裏に隠された苦悩と情熱に迫る(後編)

2025年3月31日 17:00
「許してもらう条件が坊主」元師匠からのパワハラで活動休止も裁判で勝訴 この秋、真打に昇進する「吉原馬雀」 笑いの裏に隠された苦悩と情熱に迫る(後編)

伝統芸能の中での人権問題に一石を投じた落語家・吉原馬雀。元師匠からのパワハラで活動休止を余儀なくされ、2022年に元師匠を提訴。2024年に勝訴した。現在は落語会やワークショップを通じて、伝統芸能の普及に力を注いでいる。またその一方で、弁護士を目指している馬雀。立ち上がり前を向き、歩き続ける馬雀の原動力に迫った。

宮崎市出身の落語家・吉原馬雀(よしわら ばじゃく)、本名・井上雄策。表情豊かに話す語り口に耳を傾けると、自然とそのストーリーの世界感に引きこまれていく。落語の演目は大きく2つ「創作落語」と「古典落語」があるが、馬雀は自身で制作したネタを披露する、創作落語を専門としている。

パワハラに悩む日々と一大決心

落語界の階級は、「見習い」→「前座」→「二ツ目」→「真打」と昇進していく。落語を始めておよそ15年、現在「二ツ目」として活動する馬雀は、2025年9月、落語界の最高位である「真打」への昇進が決まっている。

しかし、これまでの道のりは、決して順風満帆だったわけではない。むしろ茨の道を歩んできた。

師匠からのパワハラに悩む日々が続いていたのだ。そして馬雀は、落語界を震撼させる裁判を起こしたのだった。

吉原馬雀:
些細なことで破門と言われる。向こうにすごく大きな権力があるので、弟子としては謝るしかない。謝って許してもらうしかない。許してもらう条件が坊主にするだとか。それがやっぱりつらかった。

他にも、理不尽な指導や暴言があったという。

師匠に反論し、「破門」に

吉原馬雀:
唐突に楽屋に呼び出されて、「なんで残ってないんだ」って言われて、「えっ?」って思った。それが決め手だった。今までは僕に非があった。この件に関しては非がないと思った。これで怒られるって、わからないと思ったので、その時に「なぜ手をあげるんですか」とか「こっちは確認したんですけど」ということを言わせてもらった。それで「破門」。

テレビ宮崎