映画『木の上の軍隊』のモデルとなった日本兵の子孫が80年の時を経て「ガジュマルの木」の元へ集う 終戦を知らず、木の上で2年間つないだ命
伊江島は、沖縄本島の北部にある本部港からフェリーでおよそ30分。南国情緒あふれるこの場所では当時、「沖縄戦の縮図」と言われるほどの激しい戦いが行われ、日本兵およそ2000人、島民の半数に上るおよそ1500人が犠牲となった。
島に着いた輝人さんたちは、当時、山口静雄さんが生活していた「ガジュマル」の木の元へ向かった。
山口静雄さんの次男・輝人さん:
お父さん、お父さんが乗っていた木のところに再び来ることができました。これも多くの方々にお世話になり、自分の足もこんな風になりましたけれども、多くの方に支えていただいてこうしてお礼に参りました。2年間の木の上での生活、お疲れ様でした。
静雄さんの三女で、戦後に生まれた平春子さんは…
山口静雄さんの三女・平春子さん:
父がガジュマルの木からつないでくれた命、ここで2人が出会って頑張ってくれなかったらなかった命だと、子供たちや孫などにずっと広がっていかなかった。
ここでは、映画のもう1人の主演、山田裕貴さんが演じる男性のモデルとなった沖縄出身の日本兵・佐次田秀順さんの次男と長女にも初めて会うことができた。
佐次田秀順さんの次男・満さん:
沖縄というのは台風が多い。話の中では台風もあったと。でも乾かすことができない。濡れてもジーッと木の上に座って体温で乾かすしかなかったと。夜は食べ物を探したり、今、考えてもなかなかそういう生活というのは、想像がつかない。
山下一雄役・堤真一さん:
戦争が終わって2年間も木の上で暮らしていた人を知らなかった。そうやって生き延びた人がいたことすら知らなかった。
山口静雄さんの次男・輝人さん:
今の子供たちには戦争というものが薄れてきていますけれども、今後はこういう映画を通じて素晴らしい世界、平和な世界になることを願っている。
木の上での2年間。今ある私たちの「命」はこうして、誰かが必死に守りつなげてきた命なのかもしれない。映画『木の上の軍隊』は、2025年6月に沖縄県で先行公開され、7月25日から全国の映画館で上映される。
(テレビ宮崎)