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復旧復興に向け「小さな一歩」記録的大雨災害から間もなく10か月 山形・酒田市で被災した農家

2025年5月23日 20:03
復旧復興に向け「小さな一歩」記録的大雨災害から間もなく10か月 山形・酒田市で被災した農家

去年7月の記録的大雨による災害からまもなく10か月。山形県酒田市の大沢地区では災害の爪跡がいまだ大きく残る中、被災した農家が今シーズンの第一歩を踏み出しています。

鳥海山の頂を望む酒田市の大沢地区。上青沢の水田では、荒生道博さん(67)が春先の天候不順で田んぼが乾かない中、田起こしを行っていました。

荒生道博さん「(条件は)ここは最悪。最悪だけど唯一自分の家の田んぼがここだけしか残ったところがないので。条件が悪くてもここがないとお客さんから年間予約を頂いている分を満たさないので悪くてもやるしかない」

去年の大雨で荒瀬川沿いにあるおよそ2ヘクタールの水田は土砂や巨大な流木で全滅。この50アールほどの田んぼも農道が土砂で埋まってしまい、コンバインを運ぶことが出来ないうちにイノシシに踏み荒らされて収穫を諦めました。田んぼにはなぎ倒されたイネがそのまま残り、トラクターのローターに絡み付いて作業の遅れに輪をかけます。
荒生さんが田植えを始めたのは、それから10日以上過ぎた5月19日でした。

荒生道博さん「去年のようなことは二度とないと思うけど今年は。道半ば以前に一歩踏み出せたのかなと」

一方、平野部でも被害を受けた農家では今年に入っても復旧作業が続けられていました。

本多郁也さん「収量も結構たくさん取れて自分が持っているほ場の中では一番水持ちが良い田んぼだった。ずっとここでつや姫を作って来た中でのあの雨で田んぼはひどい状態になってしまった」

酒田市橋本で35ヘクタールの農園を継いだ本多郁也さん(24)。作付けする水田のうち日向川沿いにあるおよそ2.5ヘクタールの田んぼは、大雨で川が氾濫し、大量の土砂と流木が残されました。流木はどうにか取り除きましたが、溜まった土砂で田んぼの中に高低差が出来て水の管理が難しくなり、4月下旬から自力で重機を使った復旧作業を開始しました。

本多郁也さん「奥に溜まっている土を手前にトラックで持って来て運んで来たんですけど、手前と奥とでは20センチぐらいの差があるのでなかなか上手く均平にはなっていないんですけど田んぼを起こしてどんどん次の準備を田植えまでの準備を進めていくしかないので」

5月4日に始めた田植えと並行して、祖父の茂さん(74)が被災した水田の田起こしを急ピッチで行っていました。

相蘇信広さん「まさか実家がこんな風になっているとは思いもよらなかった」

土石流に襲われた小屋渕集落。代々受け継いだ築150年という実家と、納屋など合わせて5棟の公費解体を申請した相蘇信広さん。

相蘇信広さん「ここ全部、庭石があって池があってコイも泳いでいてかなり立派な壺(庭)があったんですけど全部埋まってしまいました」

4月、酒田市が行った公費解体工事の入札は、3つの工区とも2回連続で予定価格を上回る不成立で「不調」に終わりました。市によりますと入札参加業者との調整で今週ようやく随意契約が結ばれ、早ければ6月中にも申請者と現場立ち合いの日程調整などが始まる見込みですが、解体工事の着工まではまだしばらく時間がかかりそうです。

相蘇信広さん「年内に解体にならなくても心配はしてないですけど、ただ朽ち果てていくのを見るのもちょっと辛いので、まだしっかり建っているうちに解体に向かって頂ければ助かります」

大雨災害からまもなく10か月。復旧復興を目指し、小さな一歩を踏み出す日々が続いていました。

最終更新日:2025年5月23日 20:03