「イカのまち酒田」のイカ釣り船団 去年の半数以下に 気候変動・マグロ・中国漁船…スルメイカ不漁で
庄内沖など日本海のスルメイカ漁が記録的な不漁となっている影響で、今シーズン、酒田港を出港するイカ釣り船団が去年の半分以下のわずか3隻にまで減少する見込みであることがわかりました。
第86若潮丸 本間健漁労長「いままでにないくらいイカがいなかった。十何年前だったらどこに行っても燃料代くらいは釣れた。それが一晩操業しても何匹の本当の丸っきりいない状態で。どこに行ったものやら」
県によりますと、去年1年間の県内のスルメイカの漁獲量はおよそ319トンでした。これは、おととしまでの5年間の平均の24%、わずか4分の1にまで減少しました。
酒田のイカ釣り船団の団長を務める本間さんに不漁の要因を聞きました。
第86若潮丸 本間健漁労長「その要因は様々だ。気候変動とかあとはマグロ。マグロの群れがすごく多くて色々な悪い状況が重なった年なんです」
本間さんによりますと、気候変動による海水温の上昇でスルメイカの生息域が変わった可能性があるほか、スルメイカを食べるマグロの群れの出現も影響していると考えられるということですが、明確な理由はわかっていないということです。これら自然の要因に加え、スルメイカの漁場に多数の中国漁船が出没し、「かぶせ網」という方法で一度に大量のイカを取って行くのも一因だと話します。そうした厳しい状況を受け、より漁獲が見込める太平洋でのアカイカ漁に切り替える船も出て6月中旬に出航を予定していることしの船団は去年の7隻から半分以下の3隻に減るということです。
第86若潮丸 本間健漁労長「『イカのまち酒田』とずっとやって来たのでそれをやっぱり無くしたくないという思いが私は酒田の人間だから何とか出来れば酒田に水揚げしたいなという思いでやっている」
一方、消費者に直接届ける側の企業も苦悩が続きます。3月、酒田にオープンしたいろは蔵パークの「イカ恋食堂ごはん亭」。酒田で水揚げされたスルメイカがメインのメニューで人気を呼んでいます。
店舗を運営する山形飛鳥・五十嵐七朗社長「前はスルメイカはおいしい、それに加えて安いというのが売り物だった。いまそれが大変単価が高くなって高級になってきているというのが現実にある」
こちらの会社ではスルメイカの刺身が1匹500円ほどだったものがここ数年の間に1500円近くまで上げざるを得ない状況です。それでも、これまであまり活用されていなかった小ぶりのイカを使って新メニューを開発し需要に応えているということです。
山形飛鳥五十嵐七朗社長「おいしいゲソ天も刺身もしっかり供給したい漁師さんと組んでいいものを供給したいと思っていますみなさんも食べに来ていただきたい」
「イカのまち酒田」の名を守り続けられるか、今年のスルメイカ漁のシーズンは目前に迫っています。