愛されて四半世紀「吉田のうどん」名店が歴史に幕 常連客が味継承へ 山梨・甲府市
吉田のうどんを国中地域に広めた名店のひとつ、甲府市善光寺の「手打ちうどん とだ」が6月1日に閉店します。店を切り盛りしてきた夫婦は引退しますが、四半世紀にわたり愛されてきたその味は常連客に引き継がれます。
甲府市善光寺にあるうどん店「手打ちうどん とだ」です。2000年に店主の戸田豊さんが開店し、妻の仁子さんとともに店を切り盛りしてきましたが、6月1日をもって25年の歴史に幕を下ろすことを決めました。
「とだ」のうどんの特徴は濃いめのスープに硬めの麺。ボリュームも満点で店の近くに大学や高校があることから、部活帰りの学生にも愛されてきました。
しかし、2年前、戸田さんが慢性の間質性肺炎を発症。自身の体調を考えた結果、70歳を迎える今年に閉店することを決断しました。
「手打ちうどん とだ」戸田豊さん
「さびしいという気持ちはありますが、いつかは辞める時がくる。辞め際が大事かなと思いました」
一方で自らがつくり上げた味を引き継いでほしいと、後継者を募集した戸田さん。すると、手を挙げたのが永塚陸さん(27)です。陸さんは中学生のころから15年近く「とだ」に通った常連でした。
「とだ」の味を継承する 永塚陸さん
「15年間近くここで食べてきて味もわかっている。この味をなくしてはいけない。自分が修行してお店を引き継げればと思った」
陸さんは約2年にわたり修行を重ね、「とだ」の味を習得。「とだ」と同じ場所に夫婦二人三脚で新たな店をオープンします。
「手打ちうどん とだ」戸田豊さん
「見た目はこうだけど結構真面目なんですよ」
「とだ」の味を継承する 永塚陸さん
「ありがたい限りですね。自分としては毎日勉強で修行の身なのでまだまだかなと思うんですけど、ここから自分でも納得するくらい近づけるようにがんばればいいかなと思います」
「とだ」の営業はあと2週間ほど。 連日多くの常連客が訪れ、戸田さん夫婦との別れを惜しんでいます。
10年以上の常連客は
「マスターとは仲良くさせてもらっていたし、いつも優しい方なのでさびしい思いがあります」
学生は
「いったん閉まってしまうということで今のうちに食べとこうと思い味わいに来ました。このままガッツリした学生が喜ぶようなおいしいうどんを提供してくれたらと思います」
「手打ちうどん とだ」戸田豊さん
「お客さんと触れ合いながら和気あいあいとした明るい店に(なってほしい)。今現在もそうなんですけど、それを保っていって欲しい」
四半世紀わたり、地域と育んだ味ときずな。 名店の味は新たな形で、次の世代に引き継がれていきます。