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「監督の言うことができない選手はプロじゃないが…」J現役最年長44歳 活躍を続けられる意外な理由 山梨

2025年4月6日 18:00
「監督の言うことができない選手はプロじゃないが…」J現役最年長44歳 活躍を続けられる意外な理由 山梨
プロ27年目 山本英臣選手
 クラブ創設60周年を迎えたサッカーJ2・ヴァンフォーレ甲府。その歴史を語る上で欠かせない存在が、在籍23年目でJリーグ現役最年長の山本英臣選手(44)。2006年シーズンで共にプレーした、サッカー解説者の堀井岳也氏と、YBS山梨放送の森田絵美アナウンサーが山本選手にロングインタビュー。"闘将"とも呼ばれる山本選手の「プロとしての矜持」に迫りました。

■3度の昇格全てを経験 その裏にある知られざる思い

森田アナ

「甲府の歴史を振り返る上で欠かせないのが3度のJ1昇格。初昇格は山本選手にとってやはり思い出深いもの?」

山本選手

「(J1初昇格が)なければ僕自身の選手としての価値もなかった。甲府のチームとしての価値もすごく上がった。本当に大事な、大切な初昇格だった。チームの規模、練習グラウンドの状況や確保、いろんなことを含め、僕は前のチームがJ1(現J2千葉)だったので、本当にこのチームがJ1に行けるのか不安が大きかった。今でも覚えているが、(加入時の2003年は)練習着が1着しかなかった。それでも2部練習。午前中(の練習が)終わって洗濯し、乾燥させて、また午後の練習に着た。キャンプの2部練習も、その1着を洗濯して…という感じだった」

森田アナ

「2010年シーズンはJ2で2位の成績を収め、初めてJ1自動昇格を決めた」

山本選手

「その昇格も印象的。小さい頃からずっと長く甲府を応援してくれていた女の子がいて、その子が病気で亡くなってしまった。サッカーしていて初めて泣いた。本当にいろんな人の思いを背負い、覚悟を持って主将をして、昇格させることができた。2回目の昇格もすごく思い出に残っている」

■プロ27年目 現役を続けられる理由は「何もないから」

森田アナ

「2012年シーズンはJ2初優勝の快挙も達成し、堂々の昇格。城福浩監督(現・東京V)がチームに残したものは?」

山本選手

「『決して満足しない』。どういう結果が出ても、どれだけチームがうまくいってクラブとして成長していようが、そこで満足しない。真剣にやっていない訳ではなかったが、より『真剣さ』というのを城福さんから学んだ」

堀井氏

「サッカーも時代とともにかなり変化してきて、いろんな監督とプレーする中で(山本選手は)適応してその都度主力で出てきた。長い期間、プロサッカー選手でいられる点を自分ではどう感じるか」

山本選手

「一番は、僕が何もないから。多分、長く続けられるのは。誰よりも足が速いとか、身体能力があるとか、他の選手より上手いとか、そういうものがないから。監督の求めているもののベストを自分で出そうと続けてきた。それが自分の血となり肉となった。30歳超えたぐらいが、一番サッカーが分かってきて楽しい。自分がどんどん出来上がった感覚がすごくあった。学んできたものを自分の中にしっかり残してプレーできている」

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■新時代へ 思い描くクラブの未来とは
山梨放送