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【独自】運命の自民党総裁選 日本の未来を誰に託す?自らの政治人生を賭けた一人の議員の“もうひとつの戦い”に密着 記者が見た‟葛藤”と‟決意”自民党員の「本音」とは

2024年9月27日 12:07
【独自】運命の自民党総裁選 日本の未来を誰に託す?自らの政治人生を賭けた一人の議員の“もうひとつの戦い”に密着 記者が見た‟葛藤”と‟決意”自民党員の「本音」とは
高市早苗候補の推薦書を書く、谷川とむ衆院議員

 9月27日は自民党総裁選挙の投開票日です。選挙戦の最終盤、大阪でも地方票集めに奔走する議員の姿がありました。日本の次のリーダーを決める2週間の戦いと、その戦いに自らの政治人生を賭ける一人の議員の想い。選挙戦の裏側に密着しました。
(報告:読売テレビ報道局内政担当 加藤沙織記者)

■若手議員“はじめての推薦書” 派閥解消×9人混戦で

 9月11日、自民党総裁選の告示日前日。
 
 東京の衆議院議員会館では、大阪選出で当選3回目の谷川とむ衆院議員(48)が、緊張した面持ちで、一枚の“紙”を見つめていました。静かにペンを手に取り、慎重に、丁寧に、その紙に書き記していたのは、「高市早苗」の名前でした。署名・捺印を済ませると、間違いがないか何度も見返すほど。この“紙”は、総裁選で高市候補の推薦人となることを誓う「推薦書」です。

(Q:告示日前日のこんなギリギリのタイミングで書くものなんですか?)
 谷川議員
「僕も初めて推薦書を書くので…。ちょっと緊張しましたね(笑)」

 総裁選の立候補には、国会議員20人の「推薦人」が必要です。谷川議員は、「1~3期生はなかなか推薦人になることすらできない。これまで派閥から割り当てられた感じで推薦人は決められてきたと思う」と、総裁選の変化を説明しました。

 谷川議員は元々、「安倍派」所属の議員です。これまでは原則、議員たちは自ら所属する派閥の指示に従う形でしか総裁選に関われませんでしたが、いわゆる‟政治とカネ”の問題で派閥が解消されたなか、谷川議員は今回の総裁選では初めて、「自らの意思で」立候補者の推薦人となることを決意しました。

 推薦人になると、推薦した候補が負けた場合にはその後一定期間は要職に就けないなどの“冷や飯を食う”リスクも伴います。谷川議員自身、この決断をするまでは、2~3か月間にも及ぶ調整期間を要したといいます。

 谷川議員
「今回9人の方が立候補を表明されているので、それだけでも(9候補×20人=)180人の推薦人。推薦人集めが非常に厳しいということも聞いていて、正直いろんな方からお声がかかりました。候補者本人からも、選挙対策本部長や事務局長などからも。いろんなしがらみで…さすがに初めは動きづらいところがありましたけど、僕は気持ちよく総裁選を戦いたい、とずっと思っていたので」

■関西での9人の候補者演説会 目立ったのは「打倒維新」に沸く拍手

 自民党総裁選は、国会議員1人につき1票が与えられる「368票」の「議員票」と、全国の党員からの得票数を議員票と同じ数に配分した「地方票」とを足し合わせた「736票」で争われます。

  1回目の投票で、どの候補も過半数を獲得できなかった場合、上位2人の「決戦投票」が行われます。決選投票では、再び国会議員368人が自らの1票を2人の候補者のどちらかに投じるとともに、地方票は都道府県支部に1票ずつ与えられ、地域ごとに、より多い支持を集めた候補が票を獲得できる仕組みです。

 選挙戦中盤の9月18日、全国7都市で行われた地方演説会は大阪でも開かれました。候補者9人が一堂に会し、それぞれの政策を訴えるなか、大阪の各候補者の演説で特に目立ったのが「打倒維新」のパフォーマンスです。

 前回の衆院選では、19ある小選挙区で維新への「全敗」を喫した大阪の自民党。各紙の調査で地方票の獲得数が多いと予想される石破茂候補は「一番厳しいところに一番強い応援を行うのは組織として当然のことで、総裁を拝命すれば関西に最大限注力する」と次期衆院選での全力サポートを訴えました。

 

 また、小泉進次郎候補は「維新の会が一番嫌がる総裁になる」と発言。大阪での自民党の捲土重来、維新への対抗心を全面に押し出すキャッチーな言葉で、大阪の自民党員の心の中にくすぶる‟維新への対抗心”に訴えかけました。

■「一票に泣くかも」必死の地方票集めは、衆院選勝利への架け橋?

 選挙戦終盤の9月23日、地元の大阪・熊取町で谷川議員は、推薦する高市候補の地方票の積み上げを狙い、“最後の訴え”に奔走していました。地域の支援者が集まるなか、約1時間にわたり高市候補の“魅力”を熱弁。参加者は、谷川議員の高市候補への‟思い”に当初はあっけにとられるような形でしたが、最後に谷川議員が「高市候補がいいと思う人は?」と問いかけると、多くの手が挙がりました。

 一方、会の終了後に党員に個別に話を聞くと…厳しい声も。

(Q:誰に総裁になってほしいですか?)
 参加した党員
 「結局は私らの意見は届かへんよなぁ、というのが頭のどこかにあるので。結局誰が総裁になっても一緒なのかなぁ、という気持ちあります」
 「いつでも思うのは投票率の低さ。熊取町でも投票率が低くて…国民の思いを燃え上がらせるような国にできないのかなと。」

 そしてこの会でも、党員から聞かれたのは“打倒維新”への期待。初めて推薦人になるなど、この総裁選に賭ける「想い」について、取材の最後に話を聞くと、谷川議員は「一番は‟信念”ですね」と、高市候補が打ち出した自らの政治理念と政策への強い共感だと説明しました。

 そのうえで、選挙期間中の印象的な出来事として、「高市さんに総裁になってもらいたいから自民党員になった」という支持者とのエピソードを語り、高市候補に総裁選の先にある本丸の衆議院選挙で“勝ち馬”になれる自民党総裁、そして総理大臣としてポテンシャルも感じた、と話しました。

 「結果的に高市さんが総理・総裁になって選挙になったら、もしかしたら大きく勝利に導いてくれる可能性もある」と、期待感をのぞかせる谷川議員。同時に、「(選挙期間中に)会える人は党員のごく一部。(高市候補の)勢いは感じるけど、上滑りの可能性もあるし、結果はもうその時にならないと分からないので。悔いのないように毎日を過ごしたい。」として、来たる大阪での維新との対決への意気込みと、複雑な胸の内を明かしました。

 いよいよ、決戦の時を迎えた自民党総裁選。
 
 この国の未来と、関西の未来を左右するターニングポイントは、一人の議員の政治家としてのターニングポイントでもありました。そして、どの候補者が勝っても、必ず訪れる次期衆院選への布石もまた、着々と打たれ始めています。

 自民党総裁選は午後1時に始まり、遅くとも午後4時ごろには、第28代自民党総裁、そして第102代内閣総理大臣が選出される予定です。

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