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【速報】「遺族の言葉受け、重荷背負う覚悟や反省示している」近大剣道部元部員に執行猶予付き有罪判決 飲酒後に男子部員を“暴行死”も…遺族「私は被告を憎まない」

2024年11月29日 15:00
【速報】「遺族の言葉受け、重荷背負う覚悟や反省示している」近大剣道部元部員に執行猶予付き有罪判決 飲酒後に男子部員を“暴行死”も…遺族「私は被告を憎まない」

 近畿大学の剣道部内で、同じ部に所属していた男子部員に暴行を加えて死亡させた罪に問われている元大学生の男について、大阪地裁は29日、懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

 29日の判決で大阪地裁は「制止されたのに体を押したのは、暴力が許されないという規範に背く行為であり、若くして命を亡くした被害者の無念さは察するにあまりある」と指摘しました。

 一方で、執行猶予付きの判決とした理由について、裁判長は「複数の偶然の重なり合いで死亡に至ったともみられ、代え難い友人の命を自ら失わせてしまったことを真摯に受け止め、天寿を全うするよう話した遺族の言葉を受け、重荷を背負う覚悟や反省も強く示している。被害弁償を今後も続けていくとしていて、社会内で更生させるのが相当だ」と述べました。

■判決に両親は「誰かを憎んだり恨んだりせず、道を外したりすることのないよう、生きてほしい」

 判決の後、被害者の両親は読売テレビの取材に対し、書面でコメントを寄せました。(以下、全文)

「本日、判決を聞きました。裁判所が決めた量刑には納得しています。判決を聞いても、心情意見陳述で述べた気持ちに変わりありません。息子には、お前の友達の償いが決まったよ、と報告してあげたいと思います。被告人には、被告人自身が述べたことに忠実に、また、私が裁判で述べたことにも忠実に、誰かを憎んだり恨んだりせず、道を外したりすることのないよう、生きてほしいと思っています」

■部員6人で大量に飲酒後、ふざけあいの末…自転車に後頭部を打ちつける

 起訴状などによりますと、近畿大学の剣道部に所属していた林陽暉被告(22)は、2023年10月、東大阪市内の路上で、同じ剣道部に所属する男子大学生(当時21)の顔を殴るなど暴行を加えて、後方に転倒させ死亡させた罪に問われています。

 これまでの裁判員裁判で、林被告は「間違いありません」と起訴内容を認めています。

 検察側の冒頭陳述などによりますと、林被告と亡くなった学生は、事件の直前に東大阪市内の飲食店で、剣道部の学生6人で酒を大量に飲み、退店後、林被告が肘で被害者の体を押すちょっかいをかけると、被害者は一旦は受け流した後、背後から林被告の頬をたたき走って逃げました。

 林被告は被害者を追いかけて顔を拳骨で殴り、周囲に止められてもなお詰め寄って拳骨で胸付近を押し、被害者は後方に転倒。駐輪されていた自転車に後頭部を打ちつけて動かなくなり、心肺停止の状態で病院に搬送され、事件から11日後に死亡しました。

■死亡した男子大学生の父親「道を外したり人を憎んだりするな、天寿を全うしてほしい」

 裁判では、死亡した男子大学生の父親が出廷し、涙ながらに「息子は本当にたくさんの友人に愛され、友人を信頼して愛して生きてきました。その友人に命を奪われ、無念さを思うと悔しくて悔しくて仕方ない。しかし、人を恨めば恨み返されると分かっていた息子のことを思い、罪に情けをかけるつもりはないが、私は被告を憎まない」と訴えました。

 さらに、林被告に対し「(判決後の)それからの人生を一生懸命生きろ。道を外したり人を憎んだりするな。それに背くことは息子の命を二度殺し、私たち家族の心を冒涜することになる。我が身を大切にして、天寿を全うしてほしい」と語りかけました。

 検察側は「後ろに止まっていた自転車に後頭部が当たったなど偶発的な点は否めないものの、周りに止められても酔って反射が鈍っている被害者に暴行を加えたのは危険だ」などとして、懲役5年を求刑。

 林被告は証言台で「私が今回起こしたことにより被害者の命と未来を奪ってしまったこと、たくさんの人を悲しませ不幸にさせたこと、本当に申し訳ありませんでした。これからこのことを一生胸に刻んで、被害者の分まで償いと反省をしながら生きていきたいと思います」と話し、裁判は21日に結審していました。

最終更新日:2024年11月29日 19:39