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【困惑】京都の観光地近くに倒壊寸前の『廃屋』周辺には木材、自転車、車まで…建築NGの場所にナゼ放置?所有者の親族が抱える特殊な事情とは

2025年6月11日 8:00

 そして、『原谷の環境をまもる会』が2024年6月に発足しました。吉田会長は「YouTubeで原谷が紹介され『京都のイメージが変わる』『世紀末みたい』などの書き込みがあった。不名誉な状況を変えたい」と話しています。

 廃屋の撤去を求め、吉田会長らが京都市に何度も働きかけたことで、ついに京都市は2025年1月に、ある1軒の建物について『倒壊すると麓の住宅に被害が及ぶ恐れがあり、都市計画法と建築基準法に違反する』として、所有者に対し建物を除却するよう命じました。

■廃屋所有者の親族を独自取材 意外な事情が明らかに…

 今回、この建物の所有者の親族を独自取材すると、意外な事情が明らかになりました。

Q.元々は誰の建物だったんですか?
(所有者の息子A氏)
「僕の母親の新しい夫。おばあちゃん(母親)が交渉なんかできないから、代わりに俺がやっているだけの話」

 廃屋となった建物は、A氏の母親の再婚相手が1981年から所有していました。そして所有者である義理の父(母親の再婚相手)が2年前に亡くなり、母に所有権が移りましたが、高齢の母に代わり、息子であるA氏が廃屋を撤去することになったということです。

(所有者の息子A氏)
「『(京都市に解体の費用がないと伝えたが)廃屋を潰せ』と言われた。義父に、建物について大丈夫なのかと生前に確認していたが『大丈夫だ』の一点張りだった。本当に勘弁してほしい」

 結局、A氏は廃屋を撤去するための費用200万円を、実家を売却することで捻出したといいます。

 この件について、『原谷の環境をまもる会』の吉田会長は―

(吉田会長)
「良かったと思います。ただ、良かっただけでは済まなくて、解体する側のしんどさというか、困難さも分かってきて、例えば費用のこととか、京都市がもうちょっと解体される側の立場というか、事情を酌んであげたらなと思っているんです」

Q.A氏のような立場で「自分は知りません」は通らないんですか?
(本村健太郎弁護士)
「今の時点では、名義人が男性の母親ですよね。元々は亡くなった夫のものだったのを、母親が相続したということです。だから、持ち主が亡くなると、相続人が全部引き継がないといけないので、こうして違法建築物などの撤去の義務も、相続人が全て受け継ぐことになります。それが嫌だったら、“相続放棄”をするしかないわけですね」

Q.相続放棄が出来るんですか?
(本村弁護士)
「この場合は、相続人は母親ですから、母親が相続放棄していれば、今回の義務は引き継ぐことはなかったんです。基本的には持ち主が亡くなってから3か月以内に相続放棄をするかどうかを決めないといけないという決まりになっています」

 京都市から除却命令を出された廃屋の撤去作業は約2週間かけて行われ、2025年6月7日、作業が終わりました。

 京都市によりますと、今回解体された廃屋以外にも付近には約20棟の廃屋が、違法建築の指導対象になっているということです。果たして地元住民は、安心できる日々を迎えられるのでしょうか。

(「情報ライブミヤネ屋」2025年5月30日放送に一部加筆)

最終更新日:2025年6月11日 8:00