アマゾンで家族宛ての商品が…3万円払うも実は詐欺 “代引き”使った送り付け詐欺が増加 実態を取材

インターネット通販で「代金引換サービス」、いわゆる代引きを悪用した詐欺が増加しています。大手のアマゾンでも代引きの送り付け詐欺が確認されていて、実態を取材しました。
今年5月。ゴールデンウィークの真っ只中の午前中、大阪府八尾市の1軒の住宅に大手宅配業者の配送員が訪ねてきました。住人の女性に渡されたのは、アマゾンのロゴマークのある段ボール。アマゾンでショッピングをすると送られてくる見慣れた段ボール箱です。女性が受け取りだけ済ませようとすると…。
(配送員)
「代引きの商品なので、3万30円お願いします」
商品は、代金引換えサービスを使って送られてきていました。女性は、段ボールに貼られた伝票の「送り先」に夫の名前が記載されていたことから、「夫が頼んだのだろう」と3万30円の支払いを済ませ、段ボールを受け取りました。
その日、夫は仕事で出ていたため、スマートフォンで連絡したところ、夫は注文していなかったことがわかりました。女性の夫は、“詐欺”を疑い、まず荷物を届けた運送会社に連絡し返金を求めましたが、「返金はできません」と言われ、アマゾンのカスタマーセンターに連絡するよう促されました。そこで、アマゾンのカスタマーセンターに連絡したところ…
(アマゾンカスタマーセンター ※女性への取材による)
「詐欺の可能性があります。代金はアマゾンから返金します。段ボールはアマゾンに送ってください」
女性は、返金するという趣旨の回答をもらったということです。センターに言われたとおり段ボールをそのままアマゾンに送ったところ、数日後、代金は返金されました。
段ボールの伝票には、女性の自宅住所が記載され、自宅の電話番号も正しく書かれていました。そして、発送元には「Amazon.CO.JP」とだけ記載されていました。箱は開けずにアマゾンに送ったため、中に何が入っていたかは不明ですが、重さや振った感じから「中身は服のようだった」とのことです。女性は、「配送員は大手の運送会社で、アマゾンの商品なので、不審には思わなかった」と話します。
このケースは、代引きを使った送り付け詐欺で、狙われるのは、個人宅だけではありません。
個人宅だけでなく、企業も標的に…
先月、静岡県にある宿泊施設を運営するA社の事務所にアマゾンからの荷物が代引きで届きました。伝票の宛先に書かれていたのは会社名までで、担当者の名前はありませんでしたが、荷物を受け取った従業員の女性は、会社の誰かが購入した備品だと思い、8520円を代引きで支払いました。ところが、社内を聞いて回ったところ、誰も注文していないことが判明。
このケースも代引きの送り付け詐欺だったのです。
段ボールを空けてみたところ、透視能力者が著者の本が1冊入っているだけでした。
(A社の代表)
「間違えて配達されたんじゃないかと思ったんですが、送り状の宛て先もうちの事業所になってまして、ひょっとして(詐欺に)やられたのかなと」
変化する手口 狙いは?
アマゾンを使ったケースでは、詐欺犯は、売買が成立すると商品の注文者にポイントが入る制度を悪用し、受け取り人を第三者にして手当たり次第に商品を注文し、注文者に入るポイントを不正に獲得しているのだとみられています。
先ほどの本が送られてきたA社のケースでは…。
(A社の代表者)
「(犯人は)約8500円の商品を注文していて、6000円分くらいのポイントが入ったのでは」
増加する“代引き送り付け”
国民生活センターによれば、代引きでの送り付け詐欺は、ここ数年で増加しています。代引きでの送り付けに関する相談件数は、2017年には362件でしたが、2022年は890件まで増えています。中でも代引きを使ったケースの割合は、12%から24%まで倍増しています。
送り付け詐欺というと、突然、カニなどの海産物や健康食品が送り付けられ、その後、商品を送った業者から料金を請求されるというケースがこれまで多く発生していました。以前は、商品を受け取った人は、2週間は商品を保管する必要がありましたが、法律が改正され、2年前からは、届いた商品はすぐに処分してもよいことになりました。商品がすぐに捨てられてしまうので、代引きにしてすぐに商品代を回収しようとしているのだとみられています。
身に覚えがない商品は“受け取り拒否”を
国民生活センターでは、身に覚えのない商品であれば受け取り拒否をして、悩んだ場合は配送業者に一時的に商品を預かってもらい、関係機関に相談してほしいとしています。