×

【特集】平成以降“最悪”の列車事故…生存者が語る「20年たって見えたこと」

2025年5月10日 11:00
【特集】平成以降“最悪”の列車事故…生存者が語る「20年たって見えたこと」

 多くの人の日常を奪った列車事故から20年…1冊の本が出版されました。『わたしたちはどう生きるのか』ー被害者•加害者の立場を越えて、事故後の生き方に光を当てたものです。事故を風化させないために、また安全を守るためは、何が必要なのか…20年がたち、見えてきたものとは―。「サタデーLIVE ニュース ジグザグ」取材

■事故の生存者が語る…日常が悲惨な現場に変わる瞬間

 いつもと変わらぬ朝。いつもと同じ電車。その電車が脱線すると、誰が想像できるでしょうか。

(リポーター)
「列車が、めちゃめちゃに大破しています。線路脇のマンションに激突して、車両が壊れています」

 2005年4月25日に起きた、JR福知山線脱線衝突事故。平成以降で最も多い犠牲者を出した鉄道事故で、乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷しました。

 兵庫県の宝塚駅から大阪方面へ向かっていたJR西日本の快速電車が、制限速度70キロのカーブに時速116キロで進入し、脱線。1両目は線路脇のマンションの駐車場に突っ込み、2両目は「くの字」に折れ曲がりました。

 57人が亡くなった2両目で、後ろの方に座っていた、イラストレーターの小椋聡さん。事故後、当時の状況を正確に伝えようと、2両目の模型を作りました。

(小椋聡さん)
「ガーッと行き始めた時に、ものすごい勢いで、周りの乗客、座っている人も立っている人も全員が前を向いて同じように飛ばされていく場面を覚えています。その時が激突した時だと思いますが、(車両は)卵のパックを握り潰すような状態で、横を見てみると、両足を挟まれて仰向けにぶら下がっている男性がいました。両手と頭から血が滴り落ちている状態で、即死だったと思います。僕たちが後ろから、前の人たちを押しつぶす形になったのだと思います」

■“生かされた者”として…生存者の20年 書籍「わたしたちはどう生きるのか」に込めた思い

 小椋さんは、乗っていた車両で周りにいた人たちが亡くなる中、右足を骨折するなどの重傷でした。

 生かされた者として、できることは何か…。