【特集】平成以降“最悪”の列車事故…生存者が語る「20年たって見えたこと」
■「どう生きるのか」…被害者だけでなく、加害企業も
『わたしたちはどう生きるのか』…これは、被害者だけの話ではありません。
事故の被害者への対応に当たる中で、小椋さんと出会った「JR西日本」の元社員・高本さん。加害企業にいた1人として、今回出版された本に寄稿しました。
(元・JR西日本 ご被害者対応本部 高本佳也さん)
「小椋さんは、もともと私がJRの社員の時から、『JR西日本の批判だけをしていても、あの事故のことは分からないし、誰も幸せにならない』みたいなことをおっしゃっていたんです。加害企業の一員なのに、受け入れていただいて、一緒に(本の)創作活動もしていただいていることが本当に光栄です」
事故は消せない。しかし、そこから「どう生きるか」を、小椋さんは見ています。
JR西日本では、事故の後に入社した社員が、全体の約7割にのぼります。
(JR西日本の社員/研修の講師)
「今の時代にこのルールが合っているのか、もしかしたらこんな危険があるんじゃないか、と思ったときは、すぐに相談してください。(安全対策は)時代と共に変化しますので」
あの日、若い運転士は、事故直前の駅で所定の位置を72メートル越えて停車。定刻から1分以上遅れて出発しました。
当時、オーバーランなどを起こした運転士は、乗務から外され、反省文を書かされるなど、懲罰的な「日勤教育」が課せられていました。運転士の注意が運転からそれた背景として、この「日勤教育」が影響した可能性が指摘されています。
改めてJR西日本のトップに、当時の「日勤教育の反省」は、今の社員教育にどう生かされているのかを問いました。
(JR西日本・長谷川一明社長/2025年4月)
「福知山線(脱線衝突)事故は全体として、会社としての仕組みの欠如、“組織事故”であるという認識を持ったうえで、社員が生き生きと活躍していただける、そして自由に意見を会社に上げながら、より高い技術を身に付けて、サービスの改善・安全性の向上に努める組織になっていきたいと思っています」