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【速報】大阪・羽曳野の男性殺害  裁判員裁判で被告に懲役16年の実刑判決 直接証拠なき裁判 被告は「私はやっていません」と無罪主張

2024年9月27日 14:38
【速報】大阪・羽曳野の男性殺害  裁判員裁判で被告に懲役16年の実刑判決 直接証拠なき裁判 被告は「私はやっていません」と無罪主張
山本孝被告(48)

 6年前、大阪府羽曳野市で会社員の男性を殺害した罪に問われた裁判員裁判で一貫して無罪を主張していた男について、大阪地裁は27日、懲役16年の実刑判決を言い渡しました。

 判決の2日前、被告の男は読売テレビの面会に応じ「勝てると思っているが怖い方が大きい」と話していました。

 一方、亡くなった男性の遺族は判決の前日に読売テレビの取材に応じ「許せないという言葉じゃ足りないが、一番最大級の許せないという、つらい気持ち。人生を反省の一生で終わらせてほしい」と心境を語っていました。

■直接証拠がない中で事件の4年後に逮捕 被告側は一貫して無罪主張

 山本孝被告(48)は2018年2月、羽曳野市の路上で会社員の平山喬司さん(当時64)の背中を刃物で刺し殺害した罪に問われています。

 事件をめぐっては直接証拠がなく捜査が難航した中、4年後の2022年2月、大阪府警が山本被告を殺人容疑で逮捕。その後、殺人罪で起訴されました。

 山本被告は逮捕直後の取り調べに対し容疑を否認。今年6月から始まった裁判員裁判でも「私はやっていません」と一貫して無罪を主張しました。

 検察側は「事件があった時間帯に現場付近に止まっていた車のドライブレコーダーの映像に山本被告に似た人物が映っていた」と指摘。さらに動機として、山本被告と平山さんの知人女性は家が隣接し、事件前に植木が道路にはみ出していたことなどでトラブルになっていたことを挙げました。「犯人と被告の身体的な特徴が合致し、着衣も矛盾はなく、被告との関係以外にトラブルはなかった」と結論付けました。

 これに対し、弁護側は「山本被告は無関係で無実。検察は、防犯カメラ映像などから犯人は住宅地内の人物に限るとしているが、カメラに映らずに住宅地に侵入できる道はあるし、似た人物が映ると指摘するドライブレコーダーの映像は画質が良くない。被告と犯行を結び付ける直接的な証拠はなく、検察の立証構造は破綻している」などと主張しました。

■法廷で涙ながらに訴えた遺族 判決前の取材に「優しくて頼りがいのある父を尊敬していた」

 意見陳述で法廷に立った平山さんの長男は、「父は頼りがいのあるやさしい人でしたが悪夢のような日が突然来ました」と語った上で、山本被告に対し、「一切の反省をせず、直接証拠がないから逃げ切れると考えている被告人を絶対許せない。罪を最大限つぐなって本当の反省をしてほしい」と涙ながらに訴えました。

 判決の前日には読売テレビの取材に応じ、胸の内を明かしました

 亡くなった平山さんの長男
「事件が起きた時は信じられなかったし、私も家族も真っ暗になった感じがしました。事件が起きてから逮捕までの4年は長かったしつらかった。お骨も墓に入れていないし、犯人が分からないまま過ごしてきたのですごく苦しかった。何回も泣いてきましたが、逮捕されたときはまた泣きました。許せないという言葉じゃ足りないが、一番最大級の許せないという、つらい気持ち。父親は優しくて頼りがいがあって、すべてが好きだったし尊敬していました。私が子どもの時は家族旅行に連れて行ってくれることが多く、楽しい思い出がいっぱいあり、孫も含めて家族旅行にも行きたかったですが、それは叶いませんでした。孫、つまり私の子どものことを愛おしそうな顔で見てくれてうれしかったです。6年間、ずっと事件のことが頭をよぎっていました。いくら何をしても父は帰ってこないので、本当に反省してほしいです。被告は100%反省していない。人生を反省の一生で終わらせてほしいというのが本当の気持ちです」

■検察は懲役20年を求刑 判決前に面会に応じた被告「勝てると思っているが、怖い方が大きい」

 検察側は「強い殺意に基づく、危険性の高い犯行であるという点で悪質さが際立っている。被害者に対する恨みを一方的に募らせ、殺害を決意した意思決定は強い非難が妥当」として、懲役20年を求刑。

 その直後、山本被告は「私はやっていません」と2回繰り返した上、「裁判員、裁判官の皆様、よろしくお願い致します」と話し、裁判は結審していました。

 読売テレビは大阪拘置所に勾留されている山本被告と2回にわたり面会。判決の2日前には、心境について、はっきりとした口調で「恐怖」と「怒り」があると明かしました。

<面会でのやりとり>
(記者)判決を迎えるにあたり今どのような気持ちですか?

(山本被告)勝てると思っていますが絶対ではないので、怖い方が大きいです。悪いことばかり考えてしまいます。

(記者)気を紛らわせるために何かしていることはありますか?

(山本被告)漫画を読みながら気を紛らわせています。

(記者)検察が懲役20年を求刑したことについて、どのように受け止めていますか?

(山本被告)遺族の気分を考えると妥当だと思いますが、こちらからすれば身に覚えのないことなので、警察や検察に対して怒りは当然あります。

(記者)被害者や遺族に対して思うことはありますか?

(山本被告)気の毒だなとは思います。向こうは私を恨んでいるが、それは筋違いです。

(記者)検察から示された証拠についてはどう思いましたか?

(山本被告)ドライブレコーダーの映像については、ただ姿が私に似ているというだけで証拠とするのかというのが疑問。私も実際に映像を見ましたが、私ではないと思いましたし、それを似ていると主張されても似ていると思えない。トラブルについても隣人の女性とのトラブルであって、女性の知人である平山さんは関係ないのに、むりくりつなげて動機とするのはおかしい。

(記者)社会に対して広く訴えたいことは何かありますか?

(山本被告)まずは私はやっていませんということ。そして、警察や検察があんないい加減な証拠で逮捕・起訴したのは、おかしいということが伝わってほしいです。

(記者)拘置所を出たらしたいことはありますか?

(山本被告)子どもたちに会いたいです。