【速報】部下の女性検事に性的暴行の罪「無罪を争う」元大阪地検検事正が一転無罪を主張、弁護人が会見「当時は同意があったと考え、故意がなかった」被害者の女性は「どこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」
大阪地検のトップである検事正を務めていた弁護士の男が、酒に酔った当時の部下の女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている裁判をめぐり、男の弁護人が10日、大阪市内で会見を行い、「抗拒不能だったという認識は被告になく、当時は同意があったと考え、故意がなかった」として無罪を主張すると明かしました。
会見を行った中村和洋弁護士によりますと、北川被告は初公判で「公訴事実を争わない」と語ったことについて、「事件関係者を含め、検察庁にこれ以上の迷惑をかけたくないという思いだったが、その後の一部の事件関係者に生じた情報漏洩などにかかるあらぬ疑いや、(初公判後の)検察庁に対する組織批判により、このような方針が間違っていたのではないかと悩み、自らの記憶と認識に従って主張することにした」ことから、裁判で無罪を主張することに考えを改めたということです。
弁護側は「客観的な行為自体は争わないが、(被害女性が)抗拒不能な状況だったかどうかは疑わしく、被告に故意はなかった」として、今後裁判で争う方針だということです。
無罪の主張に転じたことに対し、被害者の女性検事は「どこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう。いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦り、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います。検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷付け続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます」と書面にてコメントを発表しました。
■検事正在任中の官舎での犯行…「これでお前も俺の女だ」
元大阪地検検事正で弁護士の北川健太郎被告(65)は、検事正在任中だった2018年9月、大阪市内にある官舎で、酒に酔って抵抗が難しい状態だった女性検事に対して性的暴行を加えたとして、準強制性交の罪に問われています。
今年10月、大阪地裁で始まった裁判で、北川被告は「公訴事実を認め、争うことはしない」と起訴内容を認めた上で、「被害者に深刻な被害を与え、深く反省し謝罪したい。検察組織や関係する人たちにも多大な迷惑をかけ、世間を騒がせたことを誠に申し訳ないと思っている」と謝罪しました。
検察側の冒頭陳述などによりますと、事件当日、女性は北川被告や同僚らとともに参加した懇親会の後、二次会を断って一人で帰ろうとタクシーに乗り込んだところ、北川被告に座席の奥に押し込まれ、2人で官舎へと向かいました。女性は泥酔状態で、記憶が戻ったときには北川被告が性的暴行に及んだとされています。
さらに「夫が心配するので帰りたい」と懇願しても、北川被告は「これでお前も俺の女だ」と言って性的暴行を続けたと指摘しています。
■「組織が立ち行かなくなる」と“口封じ”も…女性検事は涙ながらに訴え
「約6年間、本当にずっと苦しんできました。なぜもっと早く罪を認めてくれなかったのか」
初公判の後、女性は大阪市内で会見を行い、時折涙を流しながら苦しい胸の内を明かしました。
女性によりますと、事件後、北川被告は女性に対し「時効が来るまで食事をご馳走する」と話したほか、書面で「本件を表沙汰にすると、マスコミに検察庁がたたかれて組織が立ち行かなくなる」などと伝えたということです。女性は「検察庁に迷惑がかかると思い申告できなかった」と話し、北川被告が“口封じ”をしていたと明かしています。
女性は今年2月にPTSD=心的外傷後ストレス障害と診断され休職を余儀なくされたことを明かした上で、「もっと早く罪を認めてくれていたら、私はもっと早く被害申告ができて、経験を過去のものとして捉え、新しい人生を踏み出すことができた」と訴えました。
■「金目当ての虚偽告訴では」内偵捜査中に“二次被害”と訴え…副検事を刑事告訴も
さらに、「北川被告の内偵捜査中、事件の関係者である1人の女性副検事が被告側に捜査情報を漏洩し、被告が当初弁解していた内容に沿うように事実と相違する供述をしていたことが分かった。そして検察庁職員やOBに対して、『事件当時、酩酊状態ではなかったので行為に同意があったと思う。PTSDの症状も詐病ではないか。金目当ての虚偽告訴ではないか』などと、私を侮辱し誹謗中傷する虚偽の内容を故意に吹聴していたことが分かった」と明かしました。女性は検察庁内で“二次被害”に遭ったとして、この副検事による一連の行為について刑事告訴しています。
12月10日には2回目の公判が開かれる予定でしたが取り消しになり、非公開での協議が行われていました。
来年1月末にも期日間整理手続きを行い、争点の整理などをする方向で調整しているということで、次回の公判期日は未定です。
北川被告は石川県出身で、主に関西地区の検察庁でキャリアを重ね、那覇地検検事正、大阪高検のナンバー2である次席検事、最高検の刑事部長などを歴任。2018年~2019年には大阪地検の検事正を務め、「関西検察のエース」として知られていました。2019年11月、定年まで残り3年を残して退官。その後は弁護士として活動していました。
■被害者の女性検事はコメント「どこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」
10日、被害者である女性検事は、「私をどこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」とコメントを発表しました。
女性検事は、「初公判により被告人の卑劣で悪質な犯行や犯行後の言動が明らかになったことで、被告人を非難する声が高まっていること、せっかく初公判で罪を認めたのに、保釈請求も却下され、また、私が一貫して判決確定まで損害賠償金の支払いに応じないと表明していることから、いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦り、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います」とコメントしました。
女性検事はさらに、「検察のトップにいた人が、事件から6年もの間、一度たりとも被害者の苦しみを想像せず、真に罪を償おうと思うことがなかったことは、被害者としても悲しく、検事としても情けないです。検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷付け続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます」としています。
■女性検事のコメント(全文)
被告人は、私をどこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう。
被告人は、初公判で、「罪を認め争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい。」と述べていましたが、それは保釈を得るための芝居だったのでしょうか。
初公判により被告人の卑劣で悪質な犯行や犯行後の言動が明らかになったことで、被告人を非難する声が高まっていること、せっかく初公判で罪を認めたのに、保釈請求も却下され、また、私が一貫して判決確定まで損害賠償金の支払いに応じないと表明していることから、いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦り、さらに、被告人が親しい女性副検事に情報漏洩させるなどしていた疑いがあり、それについても処罰の可能性が出てきたことから、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います。
被告人は事件当初から弁解を二転三転させてきました。たくさん嘘もついてきました。被告人の再びの嘘を誰が信用するのでしょうか。
検察のトップにいた人が、事件から6年もの間、一度たりとも被害者の苦しみを想像せず、真に罪を償おうと思うことがなかったことは、被害者としてとても悲しく、検事としてとても情けないことです。
被告人がどのように主張しようが、真実は一つです。司法の正義を信じます。
検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷付け続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます。