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【独自解説】拘束された“北朝鮮兵”の“尋問”映像から見えた派兵の実態 捕虜になる前に自爆・自決を強要されていた可能性も…「北朝鮮で生け捕りというのは絶対に許されない」今後の情勢を専門家が解説

2025年1月24日 17:00

 そして、横たわる兵士の脇には身分証が置かれています。中を開くとロシアの身分証明書になっていて、名前は別人で、生年月日もウソのものでした。兵士の証言によると、「去年の秋にロシアで発行された」とのこと。

Q.この身分証は何のために発行されたものなのでしょうか?
(辺氏)
「理解に苦しむのですが、この兵士たちはロシアの部隊に配属されて一緒に行動しているので、万が一捕まった時に、北朝鮮兵士であることを隠すために保持していたのではないでしょうか。もしくはロシアの内部でしか使えない、例えば配給などで使用するためのものだと思います」

 さらに映像内での“北朝鮮兵捕虜”の驚くべき証言です。

Q.ここがどこか分かるか?
(北朝鮮の捕虜)
「(首を横に振る)」

Q.ウクライナだと知らなかった?
(北朝鮮の捕虜)
「(うなずく)」

Q.北朝鮮に戻りたいか?
(北朝鮮の捕虜)
「ウクライナの人たちは皆良い人ですか?ここ(ウクライナ)で暮らしたい」

 もう一人の兵士は北朝鮮に帰国したいとう旨を伝えたといいます。

 2024年11月にロシアに到着し「1週間ロシア側の軍事訓練を受けた後、戦場に移動した。 “戦争”ではなく“訓練”を受けるために移動していると聞いていた。戦闘中に多くの兵力の損失があった。部隊を離脱後、4~5日間飲まず食わずの状態で捕らえられた」と話しています。

(関西学院大・小西美穂特別客員教授)
「金正恩氏は、北朝鮮の派兵を認めていないわけですよね。その段階で、海外誌では兵士2人の顔が出ている。世界中に顔も出て、本国にいる家族の身の危険もあるし、本人たちも本国に戻ると、粛清や死刑に相当するような人権上の問題がある。さらに『ウクライナで暮らしたい』とまで言っています。しかし一方でウクライナ側の編集も入っているかもしれないので、情報戦という面でも見ないといけないと思います」

Q.家族が人質に捕らわれていることも考えられますよね?
(辺氏)
「そうですね。北朝鮮では“生け捕り”というのは絶対に許されないことです。北朝鮮の戦争映画を見ると、必ず工作員や軍人は、絶体絶命のときには必ず自決・自害をする。そう考えると、こういう形で生け捕りにされ、自白してしまうと、“将軍様”や祖国に迷惑をかける、あるいは裏切ることになる。恐らく北朝鮮に戻るに戻れないと思います」

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