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【解説】「日本車は負けた」…“遅れ”取り戻せる?  2024年、日本のEVの展望は

2024年1月7日 8:00
【解説】「日本車は負けた」…“遅れ”取り戻せる?  2024年、日本のEVの展望は
ジャパンモビリティショーでトヨタの新車をのぞき込むBYDグループの王総裁

2023年、「東京モーターショー」から変貌した「ジャパンモビリティショー」が開催された。来場者数は100万人を超え、関係者も「大成功」と口をそろえたが、「日系メーカーのEVへの遅れが目立った」との指摘も。2024年、日本のEVは巻き返せるか。
(経済部 戸田 舜介)

■「デザイン・技術とも日本車は負けた」…モビリティショーで突きつけられた“日本の遅れ”

2023年10月、これまで2年に1回開催されてきた「東京モーターショー」が生まれ変わり、自動車のみならず、未来の乗り物やスタートアップなどにも展示を広げた「ジャパンモビリティショー」が開催された。特に目立ったのは“未来のEV=電気自動車”の展示だ。例えばトヨタ自動車は、利用者のニーズに合わせて使い方を変えられるEVなどを提案。日産自動車は、完全自動運転の新型EVなどを展示した。

来場者数は100万人を超え、関係者も「大成功だった」と口をそろえたが、ある関係者は「デザイン・技術ともに、日本車が負けたことを突きつけられた。このままでは、円は売られて日本は終わってしまうだろう」と強い危機感を募らせた。いったい、日本車は“どこ”に遅れているのだろうか。

■「デザインも技術も中国の方が上」…BYDはナゼ強い?理由(1)

今回のモビリティショーで大きく注目されたのは、今回が初参加となった、EVで存在感を強める中国のBYDだ。先の関係者は、BYDのEVを見て「デザインも中国の方が先駆的。それだけでなく技術も、日本車は中国車に後れを取っている」と話す。

BYDは、EVの販売台数でテスラに次ぐ世界第2位。強みは、創業がバッテリーメーカーという点だ。そもそもEVの開発には、「高性能な電池」が必要不可欠で、その研究開発のための費用がEVの価格をつり上げる一つの要因となっている。

しかしBYDは自ら電池を生産できる体制を持っていて、さらにそれをグローバルに展開しているため、電池の開発コストがかかりにくい。そのため補助金を活用した場合、安い車種では300万円ほどで購入できるものもある。

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■BYDはナゼ強い?理由(2)…「車体と一体化した」電池技術