×

大使に聞く!「国境まで足を運び自宅へ連れ帰った」ウクライナ避難民受け入れる隣国モルドバ ホスピタリティのワケ

2022年8月21日 10:00
大使に聞く!「国境まで足を運び自宅へ連れ帰った」ウクライナ避難民受け入れる隣国モルドバ ホスピタリティのワケ
駐日モルドバ共和国大使のドゥミトル・ソコラン氏

ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく半年。避難民への長期的な支援が課題となる中、財政的に厳しい状況にありながらも人口の20%以上にあたる数のウクライナ避難民を受け入れてきた国があります。そこには、大国に翻弄(ほんろう)された歴史を持つ人々の思いがありました。

■東欧の風を感じられるティーサロン

東京・墨田区。

「東京スカイツリー」のお膝元に、東ヨーロッパの風を感じられるお店があります。モルドバ出身の店主が2018年にオープンした紅茶専門店、「ティーサロン マルツィショール」です。世界各国から取り寄せた50種類以上の紅茶のほか、モルドバ料理やモルドバワインも提供。店名の「マルツィショール」とは、東欧で春の訪れを祝う行事、またはその行事で飾られるお守りのこと。店内は「マルツィショール」や色鮮やかなティーセット、ワインや蔵書のコレクションで彩られています。

8月中旬、この店を訪れたのは駐日モルドバ共和国大使のドゥミトル・ソコラン氏。日本テレビのインタビューに応じ、ロシアによるウクライナ軍事侵攻後のモルドバをめぐる情勢について語りました。

■ワインの国モルドバから来日…日本人の印象は

モルドバはウクライナとルーマニアの間に位置し、九州よりやや小さい面積の国土に約264万人が暮らしています。2019年時点でモルドバには6人の日本人が住んでおり、日本には250~300人のモルドバ人が暮らしています(大使館情報)。

モルドバはワインの産地として知られ、特に有名なのは「ミレスチ・ミーチ」という世界最大級のワイナリー。迷路のような地下道が200キロにわたって続き、200万本以上のワインが保存されているそうです。モルドバ人にとってワインはとても身近な飲み物で、自宅で手作りしている人も多いのだとか。

ソコラン大使は、2021年に日本へ赴任。来日前から日本人には「とても真面目で働き者」という印象を持っていたそうですが、赴任後もその印象は変わっていないといいます。

ソコラン大使
「東京に来て驚いたのは、人口が多いにもかかわらず街並みや交通機関が整然としていることです。飲食店のバリエーションが幅広いのにも驚きました」

次ページ
■財政的に苦しくても…避難民を受け入れ続けるワケ