性別は“男女2つしかない”…トランプ新政権のトランスジェンダー抑圧政策とは?スポーツ/学校/軍隊から排除も──
■就任前に駆け込みで…第2次トランプ政権を待つアメリカ社会
報道局ジェンダー班 白川大介プロデューサー:
間もなくトランプさんが大統領に就任するという今、アメリカの社会はどんな雰囲気なんでしょうか。
NNNニューヨーク 末岡寛雄支局長:
収録しているのが1月6日なんですが、4年前、バイデンさんが大統領に就任することが決まって、議事堂にトランプさんを支持する人たちが乱入したのが1月6日なんですね。アメリカメディアは「あれから4年経った」というニュースを今日はいろいろ伝えています。
ただ、トランプさんの就任も、もう2回目になりますので、表面的には選挙結果を皆さんみんな受け入れて落ち着いているように見えます。
白川:“嵐の前の静けさ”かもしれませんけどね。
末岡:一方で、トランプさんが就任する前に駆け込みでいろんなことが決まっています。
例えば、ニューヨークは昨日から「渋滞税」という税金が課されるようになりました。マンハッタンは渋滞がすごいんです。昔ながらの街で、町中に高速が走っていないので。しかも地下鉄は老朽化していてボロボロです。そこで、マンハッタンに乗り入れる車から日中は9ドルを徴収して渋滞を緩和し、徴収したお金で公共交通機関を整備する「渋滞税」が1月5日から導入されました。
でも、トランプさんはこれに対して反対しているので、就任したらひっくり返る可能性があります。
白川:いやー…大変ですね。
末岡:私は音楽が好きなんですが、使われている曲ひとつとっても、トランプさんの集会とハリスさんの集会では全く印象が違いました。やっぱりトランプ陣営では“男性性”を音楽でもすごく強調していたのが面白かったなと私は感じました。
白川:例えばどんな音楽だったんですか?
末岡:トランプさんが登場する時に毎回流れる「私はアメリカ人であることにプライドがある」みたいな曲があります。あとはヴィレッジ・ピープルの曲も流れます。よく知っている曲で言うと『YMCA』。
白川:日本で言うと西城秀樹さんですね。
末岡:そうです。あとは有名な『マッチョマン』という曲があるんですが、ミュージックビデオをみると屈強な男の人が出てきます。ヴィレッジ・ピープルはもともとゲイのイメージを前面に出したアーティストなんですよ。その“男性性”を切り取って、「トランプはすごく男らしいんだ」と集会の中で強調していました。
白川:LGBTQの権利とかではなくて、“ゲイを象徴する演出”だったヴィレッジ・ピープルの“男性性”の部分を記号として利用している印象ということですね。
末岡:もちろん多様性というのはすごく大事ではあるんですが、LGBTQって「性的少数者」といわれるように、少数なんですよ。多数はシスジェンダーであり、ヘテロセクシャルです。そこに対して訴求するメッセージを流して票を確実に取りに行くのがトランプさんの戦略でした。良いか悪いかは別にして、その戦略がすごく効いたと思いました。