役所が顔文字?“やわらかツイート”のワケ
今月、ツイッターで「パスポートは防虫剤と一緒に保管しないでください。(顔文字)エエッ!?」という外務省のツイートが話題になった。“お堅い”イメージのお役所が発信するユニークなツイートが最近増えているが、一体なぜなのか。
■若い人が興味を持つきっかけに
このツイートを投稿したアカウントを見てみると、“外務省やわらかツイート”と書かれている。読んでみると、「防虫剤と一緒に長期間保管していると、パスポートのラミネートが変色することがあり、入国や出国の際にトラブルになる可能性も」とツイートしている。
ラミネート部分とは、顔写真や名前が載っているページのことで、このページが変色して出入国検査でトラブルになる可能性があるとしている。過去には、ラミネート部分が変色し、渡航先で入国する際に別室で1時間の審査を受けたケースもあったという。
このツイッターを発信している外務省の担当者によると、「若い人が、外務省の活動や外交政策に興味を持つきっかけになれば」ということで、こうしたツイートをしているのだそうだ。
■“ツイート担当シフト”も
こうした“やわらかい”ツイートを発信しているのは、外務省だけではない。今月9日、警視庁警備部災害対策課がこうツイートした。
「消費期限が近くなった『乾パン』を利用した『乾パンひとくちカツ』を作ってみました。我が家の中1と小3の子供から『また作ってー』と大好評!」
料理好きの主婦のような投稿で、乾パンを砕き、パン粉の代わりに付けたひとくちカツの写真まで実際に載せている。
ツイートを発信したのは、警視庁警備部災害対策課に所属する44歳の男性職員だということだが、非常食を期限前に無駄なく消費する大切さを訴えたかったということだ。
さらに、このツイッターは災害対策課の職員38人が担当していて、“ツイート担当シフト”というものまであるそうだ。
■ギャップがウケる
そして、“やわらかい”ツイッターは、小さな自治体でも行われている。北海道・陸別町では、“日本一寒い町”をうたって、“-30℃を下回る寒さ”に誇りを持っているということだが、ツイッターには「最低気温は-16.8℃。このくらいの最低気温だと体が楽ですね」とあり、まさに寒さをウリにしたツイートが人気だという。
ツイッターの担当者によると、実際にこうしたツイートを見て陸別町を訪れる観光客もいるということだ。
役所などがこういった内容を発信することについて、省庁や自治体の広報に詳しい東海大学の河井教授によると、“お堅い”イメージの役所などが“やわらかい”内容を発信すると、そのギャップがウケて、多くの人がツイッターをフォローする。そうなれば、役所などが発信する真面目な内容も多くの人の目に触れるきっかけになる、と話している。
■身近な存在に
どんなツールを使っていかに伝えるかを工夫することは、行政と私たちとの距離を縮めることにもつながる。こうした試みで役所などがより身近な存在になって、私たちが必要な情報を得やすくなることを願う。