記録的大雨から1か月 二次的な被害で存続の岐路に立たされている由利本荘市の繁殖農家
記録的大雨から1か月が過ぎました。農林水産関係の被害額は180億円以上にのぼり、過去最大となっています。農地や農作物などへの直接的な被害が大半ですが、由利本荘市では二次的な被害によって存続の岐路に立たされている繁殖農家もいます。
先月下旬、1日で平年の1か月分以上の雨が降った由利本荘市の東由利地区。
崩れた生活道路の一部は今も通行止めのままとなっています
自宅が床上まで水に浸かる被害に遭った大場惣七さん。
50年以上、黒毛和牛の繁殖農家を営んでいます。水は自宅の向かいにある牛舎にも流れ込みました。当時、14頭の母ウシのほか生まれたばかりの子ウシも2頭いました。
大場さん
「1日しか違いません。これ22日向こうの子ウシが23日です」
生後5か月ごろまでは母乳で育つ子ウシ。
その母乳の元になるのがたっぷりのエサです。自前で収穫した牧草を与えています。
しかし、先月の大雨で屋外に保管していた牧草の多くが水に流されてしまいました。
大場さん
「被害大有りでよ、120ラップそっから流れた冬のエサ無くなってしまった」
牧草のほか、栄養価の高い穀物主体の飼料を購入して与えている大場さん。価格は3年前のおよそ1・5倍に上がっているといいます。
大場さん
「たけ~な。んだたって食べさねばできねえし。」
飼料の販売業者が2か月ぶりの集金に訪れました。
「水害あった話聞きました?」
「先月集金これは顔ださねぞって、でもウシの方が被害無かっただけでも・・・」
「農機具ダメだしハウスも泥たまって上がらないところがない。」
飼料の高騰に追い打ちをかけた今回の大雨。
その爪痕は今後の経営にも暗い影を落としています。
自宅近くにある約50アールの田んぼで飼料用米を育てている大場さん。
秋から冬の期間、母ウシに与える大切なエサです。
しかし、田んぼには大量の土砂が流れ込んでいました。
♪音・大場さん「来年の作付けはムリだな。」
収穫量は大幅に減る見通しです。
大場さん
「ウシ減らすしかない」
今月上旬、3頭の母ウシを手放した大場さん。半世紀以上続けてきた繁殖農家をやめるべきか。一緒に繁殖農家を営む長男に相談して決めることにしています。
大場さんは2ヘクタールの田んぼであきたこまちも育てていますが、農機具が水に浸かって使えない状態になっているということです。大雨による直接的な被害と二次的な被害。両方に寄り添った支援が求められています。