×

「丸くてつるっとしたもの」に注意 食べ物がのどに詰まった時の対処法は 給食をのどに詰まらせ小1死亡 福岡   

2024年2月27日 18:10
「丸くてつるっとしたもの」に注意 食べ物がのどに詰まった時の対処法は 給食をのどに詰まらせ小1死亡 福岡   
異物がのどに詰まった場合の対処法は

26日、福岡県みやま市の小学校で1年生の男子児童が給食をのどに詰まらせ死亡する事故が起きました。ウズラの卵による窒息とみられています。給食のおかずに潜む危険と対処方法を専門家に聞きました。

こちらは26日、福岡県みやま市の小学校で出された給食です。みそおでんに入っていたウズラの卵をのどに詰まらせ、小学1年の男子児童が亡くなりました。窒息死とみられてます。

事故を受け、26日夜、みやま市は緊急会見を開きました。

■小学校の教頭
「教職員はその時にできることはやっておりますが、のどの詰まりに関しての想定というのは不十分だったかと思われます。」

みやま市教育委員会によりますと、事故が起きたのは26日午後0時半すぎです。

みやま市内の小学校で給食を食べていた小学1年の男子児童(7)が突然立ち上がり、吐きそうなそぶりをしたため、担任が背中をたたくなどして吐かせようとしましたが、児童は自分で立っていられない状態になったといいます。

その後、ドクターヘリで久留米市内の病院に搬送されましたが死亡しました。

のどに詰まらせたウズラの卵は加熱をしたもので、直径2センチほどの大きさでした。

■みやま市教育委員会
「栄養価が高く子どもたちの嗜好(しこう)も高い。よくかんでしっかり食べなさいという指導を徹底させていく必要があると思います。」

同様の事案はこれまでにも起きています。2015年、大阪市では、小学1年の女子児童が給食中にウズラの卵をのどに詰まらせ死亡しました。

厚生労働省によりますと、2014年からの6年間で、食品をのどに詰まらせたことなどによる窒息で死亡した14歳以下の子どもは80人に上っています。

救急救命に詳しい北九州市立八幡病院の伊藤名誉院長は「食べ物による窒息」の危険性を指摘します。

■北九州市立八幡病院・伊藤重彦 名誉院長
「ある程度の大きさのもので気管の入り口を全部塞いでしまう。子どもの場合は気管が1センチくらいなので、1センチ以上のものが詰まると窒息という状態で息ができない。こういうものが一番危険です。」

子どもは大人に比べてまだ発育過程にあるため、ものが詰まりやすいといいます。

また、子どもが窒息を起こしやすい食品としては、ぶどう、ピーナッツ、ミニトマト、ウズラの卵、団子など丸くてつるっとしたものを挙げます。

■北九州市立八幡病院・伊藤重彦名誉院長
「口の入口からのどの奥までするっと移動してしまうようなもの、表面がつるつるしたものは奥に行きやすい。そういう状態かつ丸いもので、少し小さめなものは詰まってしまう。」

伊藤名誉院長は窒息を防ぐために「食べ物をできるだけ小さく切る、小さくかみ砕くことが大切」だと呼びかけています。

事故当時の学校側の対応を改めて整理します。

26日、小学校で給食が始まったのは午後0時半ごろです。

およそ5分後、児童が立ち上がり吐きそうなそぶりをしたため、担任が背中をたたくなどしてすぐに吐かせようとしますが、児童は力が抜けて自分で立っていられない状態になりました。

担任は、隣の教室にいた教員と養護教諭を呼び、心臓マッサージと人工呼吸を開始します。

そして、午後0時40分に救急車を要請、8分後に救急隊が到着し、応急処置が始まりました。

午後1時14分にドクターヘリも到着し、久留米市内の病院に搬送されましたが、午後2時50分ごろに死亡が確認されました。

では、食べ物などがのどに詰まったとき、どのような行動を取ればよいのでしょうか。福岡市消防局で聞きました。

対応としてまず大切なのは、のどに詰まった人が行う、ある動作を見逃さないことだといいます。

■福岡市消防局 救急救命士・中村美由紀さん
「のどに詰めた場合、まず声が出せなくなって、息が苦しいので首元に手を押さえて、このまま苦しがっているような“チョークサイン”と言われる行動をする人が多い。」

“チョークサイン”を行う人は、のどが詰まっている可能性が高いといいます。

この行動を確認した場合、①すぐに周囲にいる人を呼ぶ、②119番通報をする、この2つを行う必要があります。

■中村さん
「強いせきをすることで、せきだけで異物が出ることもあります。せきを促してもせきが出ない、もしくは、せきをしても出てこない、そういう時は背部叩打法(はいぶこうだほう)を試みます。」

背部叩打法とは、どのようなものなのか。実際にやってもらいました。

■中村さん
「背中の肩甲骨と肩甲骨の間を、手のひらの付け根で力強くたたいていきます。それでも出ない、そのような状態でしたら、今度は腹部突き上げ法を行っていきます。」

背部叩打法を5、6回やっても効果がない場合、腹部突き上げ法に切り替えます。

■中村さん
「人さし指で傷病者のおへそを探します。おへそを見つけたら、反対側の手を拳を握って、親指側をそのまま人さし指の上にくるようにして当てます。しっかりくっついたところで人さし指を外して、拳の上から握り込みます。そして体をしっかりと密着させて、 斜め上に引き上げます。」

腹部突き上げ法を5、6回やっても効果がない場合は再び、背部叩打法と腹部突き上げ法を繰り返し行ったほうがいいといいます。

それでも出ない場合は救急隊の到着まで胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージを行うことが大切だということです。

最後に、事故を受けた今後の対応です。

事故が起きた福岡県みやま市では今後、ウズラの卵は当面は使用しない、また、ほかの食材を提供する際の大きさなどを検討していくということです。

また、食べものをたくさん口に入れない、よくかんで食べるなど改めて指導を徹底する方針です。

福岡市は市立の小中特別支援学校に給食事故防止の注意喚起の文書を送付し、北九州市は低学年にウズラの卵を使用しないようにするほか、保護者への注意文書を配布する予定です。

久留米市や飯塚市は、みやま市と同様、ウズラの卵などの食材の使用に関して検討中としています。

また、福岡県教育委員会は各市町村の教育委員会に、給食の安全確保に関する通知を出しています。