国内初!3Dプリンターで自動車製造の試作「ゆくゆくは車体丸ごと…」
3Dプリンターを使って自動車車体の試作を始めたのは、多賀城市の日本積層造形=ジャンプJAMPT。
この会社では3Dプリンターと金属の粉を使って、これまでは成型できなかった複雑な形状の機械部品を手掛けてきた。
この車体の試作品は金属3Dプリンターとしては国内最大級の大きさで、3Dプリンターを自動車車体の製造に応用するのは国内で初めてだということ。
日本積層造形 武藏昌貴課長代理
「従来は手のひらサイズで簡単に持てるものから大型化してきている」
愛知の企業
「ちゃんとした形状にしているのはすごい。これだけでかいのはなかなかない」
今、自動車業界では製造コスト削減と車体の軽量化を目的にギガキャストという工法が注目されている。
これまでの車体は何十もの板金や部品を組み合わせるのに対しギガキャストは1つ、ないし、2~3つのパーツから作る新しい工法で、これを3Dプリンターで行うという取り組み。
日本積層造形 武藏昌貴課長代理
「ゆくゆくは車体丸ごとシャシーからボディまで金属積層造形でできるようになる世の中が来る」
ギガキャストは米国のEV自動車大手テスラ社が世界に先駆けて実用化。トヨタも2年後の2026年から発売するEV=電気自動車に採用する方針を打ち出していて、EVへのシフトは自動車産業の部品製造を大きく転換させると見られている。
日本積層造形 武藏昌貴課長代理
「日本だとまだまだ技術を自動車の中に組み込むのは後れを取っている印象はある」
この会社の金属3Dプリンターによる技術は、今年1月に月面着陸に成功したJAXAの無人探査機「SLIM」に採用された。
このメッシュ状の複雑な形状部品はSLIMが月面への着地する際の衝撃吸収材として機体を守る重要な任務を果たした。
日本積層造形 武藏昌貴課長代理
「着陸してぐしゃっとつぶれる。潰れさせて機体を守る。とても従来の工法では作れないような積層造形の技術を用いて複雑形状を一体化で作る」
台湾の半導体製造大手が県内に進出することが決まったり、立地から12年が経ったトヨタ自動車東日本を中心に自動車産業の技術革新が進む中、県は補助金を準備して3Dプリンターの活用が実現するように後押ししている。
宮城県産業技術総合センター 伊藤利憲 上席主任研究員
「宮城県としては3Dプリンタを新しい産業技術として捉え人材育成やネットワーキングに力を入れている。徐々に成果が出つつある今後とも伸ばしていきたい」
日本積層造形 武藏昌貴課長代理
「自動車、航空宇宙、医療。半導体製造装置。当社しかできないことを東北各メーカーに納め、ものづくりを活性化させたい」