【袴田さん再審】6回目の公判…最大の争点「5点の衣類」めぐる検察と弁護団の攻防を増田英行弁護士が解説
16日の公判では、これまでの裁判でも最大の争点となっている「5点の衣類」について、犯行時の着衣だとする検察の主張に弁護団が反論しました。
5点のうちの一つ、ズボンには脛の部分に損傷がありますが、検察側は、これは袴田さんが犯行時に傷を負ったときに損傷したものだと主張しています。また検察は、袴田さんが「専務と格闘になった」と自白しているとも述べています。
これに対し、弁護団は、逮捕直後に行われた身体検査の記録に「すねの傷」の記載はなかった。これは袴田さんの取り調べ中にできた傷で、ズボンの損傷は、捜査機関が供述の内容に合わせて捏造したものだと主張しました。
再審公判でも5点の衣類について、検察と弁護団の主張が食い違っていますが、どのようにみていますか?
(増田 英行 弁護士)
「『5点の衣類』というのが袴田さんとこの事件を結びつける最も重要な証拠であるということは間違いありません。それがどういうことを意味しているのかというと、2つの問題がありまして、ひとつは犯行当時、犯人がこの『5点の衣類』を本当に着ていたのかどうか、本当に犯人のものなのかという観点からの争いがひとつです」「それに関することが衣類の破れ方だとか、血痕の付き方だとか、血痕の色が変化していること、これをどう説明するかということになってきます」「それからもう1点、仮にこれが犯人が着ていた衣類だとして、それは袴田さんのものなのかという点、これが、サイズの問題、着られたのか着られなかったのかということだったり、先ほど説明にあった「すねの傷」の位置の整合性、身体の傷と服の傷が合致するのか、そういったところで検察と弁護団とで激しく争われているといいうことになります」
さらに、16日の公判では、再審公判で弁護団が主張する「1人の犯行ではなく、犯人は複数、動機は強盗ではなく怨恨だ」ということについて意見が述べられました。
複数犯とする根拠として・遺体の写真に縛られた痕があること・4人の遺体には胸と背中を中心に、合わせて40か所以上、刃物による傷があり、いずれも、1人での犯行は不可能だと主張しています。
再審公判になって弁護団は、複数犯による犯行で強盗事件ではないとの主張をしています。これについてはどう思いますか?
(増田 英行 弁護士)
「弁護側がここまで積極的に主張するということは、あまりないことだと思うのですが、常識的に考えてもらいたいのですが、被害者が4名、被害者4名を相手に刺殺をするといった場合に、これを実行するためには相当な抵抗が予想されるわけです、通常考えてそうであるはずなんです。ところが、実際、犯行現場において被害者が争ったような跡、抵抗したような傷であるとか、部屋の中の破損の状況だとか、そいういったことと合致するのかどうなのか、本当に1人でできたのかどうかという弁護団の主張というのは一理あるといういか、説得力があるのではないかと思いますね」
そして17日も公判が開かれますが、17日のポイントはどこになりそうですか?
(増田 英行 弁護士)
「あすはですね、この事件で最大、最後の争点といわれている『5点の衣類』に付いている血痕の色の変化、これがどうなのか、これが残された最大、最後の争点といわれています、これがあした主張、立証されると聞いています」
袴田さんの再審は17日に7回目の公判が開かれます。