【再整備事業】カフェ進出や樹木伐採など巡り議論のあった「城北公園」今後どうなる?(静岡市)
静岡市葵区にある「城北公園」の再整備事業を巡り、静岡大学の大学院生が、22日、「全世代が魅力に感じるような公園にしてほしい」と、難波市長に要望書と署名を提出しました。カフェの進出などを巡り議論のあった公園の再整備。今後どう進むのでしょうか。
(静岡大学大学院 土屋 宏斗さん・23歳)
「よろしくお願いいたします」
22日、難波市長に要望書と署名を手渡したのは、静岡大学大学院に通う土屋宏斗さん23歳。静岡市葵区にある「城北公園」の再整備について、市民の共感を得ながら事業を進めることや、若者世代を含む全ての世代に魅力的な公園づくりをしてほしいと要望しました。
「城北公園」は、静岡駅から北に約2キロの場所にあります。広さは、南北が約290m、東西が約210mで、日本庭園や図書館も併設する緑豊かな公園です。
1985年、静岡市が静岡大学跡地に整備し、4年前の2020年、公園の魅力アップを図ろうと「パークPFI制度」を活用した再整備することを決めました。「パークPFI制度」は、公園の整備や管理の一部を民間企業が担う制度。公募の結果、2021年3月、地元企業の案を採用し、計画では、公園内に子育て支援施設のほか、駐車場、そして「スターバックス」の建設が盛り込まれていました。しかし、一部の市民団体が、整備に伴う樹木伐採などを理由に計画に反対を訴えました。
(城北公園の会・2021年)
「大きな駐車場をつくるというもので、それだと木々を切ってしまう。この緑の環境を壊してまでドライブスルー・店舗用の駐車場はいけないのではないか」
その後、市は、計画の一部見直しを提案。しかし、市民団体は4千人余りの署名を集め提出し、計画見直しを訴えました。さらに2022年3月、市民団体らはこの事業が「市民参画条例」に違反していると住民監査請求を行い、市がこれを棄却すると住民訴訟を起こしました。こうした動きを受け、2022年4月、スターバックスは、「このまま出店しても地域や周辺住民の方々をつなぐ場としての役割が果たせない」と出店を辞退しました。
当時、大学生だった土屋宏斗さん。この時の報道を見て、ある行動を起こしました。
(静岡大学大学院 土屋 宏斗さん)
「率直に残念だな。ニュースに対するコメントを見てみると多くの人は賛成しているのだな感じた」
土屋さんは、「静岡市の公園でスタバのラテを飲みたい」と題し、オンライン上で署名活動を開始。すると、1か月半で701人の署名が集まりました。しかし、この署名活動に対し、住民運動を妨害するものとして、市民団体とは別の反対派住民が、土屋さんに慰謝料80万円を求める訴訟を起こしたのです。
(静岡大学大学院 土屋 宏斗さん)
「なんで裁判をするのかという謎と、裁判でどうなってしまうのかという恐怖心が非常にあった。驚きと困惑が強かった」
その後の裁判で、静岡地裁は原告の請求を棄却。控訴された東京高裁の判決も控訴棄却となり、2024年6月、土屋さんの「勝訴」が確定しました。
(静岡大学大学院 土屋 宏斗さん)
「自分の意見と違うことをしたら/訴えるという理不尽さや、そういった方法で相手の言動を封じようとするやり方には納得できない」
一方、市民団体らが市に提訴した住民訴訟についても、2024年3月、静岡地裁が原告の請求を棄却。この結果を受け、市は、事業内容の再検討や地域住民への説明を再開する方針を示しました。では、「城北公園」の再整備計画は、現在どうなっているのでしょうか。
(静岡市緑地政策課 天野 大輔 係長)
「今はテナントもまだ決まっていない状況。 また、これから住民と直接説明をして理解を得ながら、ある程度理解が得ればテナント探しを市が直接やるわけではないが、事業者がいるので、事業者がテナントの方を探していくことになっていく」
難波市長は、これまでの市の進め方について「住民への説明が不十分だった部分については反省が必要」と説明し、市は2024年度中にも、改めて地域住民への説明会を実施する予定です。また、テナントなどの具体的な内容については、協定を締結した事業者からの提案を待ちたいと話しています。
再び動き始めた城北公園の再整備事業。土屋さんが求めるその思いとは。
(静岡大学大学院 土屋 宏斗さん)
「まずは皆さんが共感できるような公園づくり、まちづくりを進めてほしいというものと、あとは、一部の意見ではなく、全ての世代に魅力のある公園づくりをしてほしいという願いを込めて提出した」「スタバに限らず、本当に魅力的な公園になってほしいとというのが1番」