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【特集】新型コロナ後遺症の女子高校生…寝たきり状態「コロナが憎い」 実名で取材に応じた胸の内とは【長野・岡谷市】

2023年10月23日 11:53
【特集】新型コロナ後遺症の女子高校生…寝たきり状態「コロナが憎い」 実名で取材に応じた胸の内とは【長野・岡谷市】

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行して5か月が過ぎました。
こうした中、新型コロナの感染をきっかけにその後遺症に悩む女子高校生がいます。
今回、実名と顔を出して私たちの取材に応じてくれた彼女。
そこには、「この後遺症を知ってほしい」という強い思いがありました。

岡谷市に住む高校3年生の山田幸奈(やまだ・ゆきな)さん。
今は、自分の力で起き上がることができません。
手に力が入らないため、鉛筆を握ることも、スマートフォンで文字を入力することもできなくなってしまいました。
幸奈さんが1日の大半を過ごすのがベッドの上。
1年以上も寝たきりの生活が続いています。

【山田幸奈さん】
「頭が痛いとか、だるいというか疲れちゃうとか、味覚とか嗅覚が(感じ)ない」

自宅で介護するのは、父の博章(ひろあき)さんと母の笑子(えみこ)さん。
以前は、岡谷市の自宅から列車で松本市の高校まで通っていましたが、今は生活すべてに介護が必要な状況となり、月に数回しか学校には行けません。

【リハビリの様子】
「痛い」
「幸奈さんがんばって」

幸奈さんは週に1~2回、福祉サービスを利用してリハビリに励んでいます。

【母・笑子さん】
「初めての介護、自分たちの親をみる介護と違って、自分の子どもをまさか介護するとは思いもしなかったので」
「そのうち良くなるだろうって思っていたら、全然良くなっていかないまま悪化していって」

幸奈さんには幼いころから発達障害がありました。
去年4月、3回目の新型コロナワクチンの接種を終え、高熱が10日ほど続きましたが回復。
その後は通常の生活を送っていましたが、去年9月7日、新型コロナウイルスに感染し、状況が一変しました。
40度近い高熱が続き、翌々日の9月9日には肺炎の併発が判明したのです。
11日の夜からは治療薬の吸入で岡谷市内の病院に通いましたが、症状の改善はみられず20日から入院しました。
感染直後から倦怠感や息苦しさ、味やにおいを感じなくなるなどさまざまな症状が現れ、姿勢を保つことさえ難しくなりました。
病院の検査では異常が見つからず、県などにも相談しましたが、同じような症例は把握していないと言われたそうです。

【父・博章さん】
「インフルエンザと同じ5類になったが、(新型コロナに)感染した後の状態、とてもインフルエンザと一緒にしてはいけないんじゃないかなと思っている」
「こういう人がいる、こういうことで悩んで苦労している、困っているという人がほかにもいるのかどうなのかすらわからないので、そこが情報としてほしい」

なぜ、寝たきりになってしまったのか…
その原因を知りたくて県内外の病院を渡り歩きました。

ところが…。

【母・笑子さん】
「検査をして異常がなければうちの病院に来ても見るものはありませんって言われちゃった。なので受け入れてくれるところがなくて」
【山田幸奈さん】
「(周りから)気の持ちようとか、甘えているとか、赤ちゃん返りしているとか、いっぱい言われてつらかったし、1年以上、動けないからもっとつらい(涙落ちる)」

そんな時、東京にいる専門医の存在を知り、リモート診察を受けることができました。
診断結果は、COVID-19後遺症。
つまり、新型コロナウイルスによる後遺症でした。

東京・渋谷のスクランブル交差点。
そこから歩いて2分ほどの場所にあるのが新型コロナ後遺症の専門外来を開いている「ヒラハタクリニック」。
このクリニックの院長、平畑光一医師です。
3年前の10月に内科とは別に新型コロナ後遺症の専門外来を開設。
これまでに6000人以上の後遺症患者を診察してきました。

【ヒラハタクリニック院長 平畑光一医師】
Q.新型コロナ後遺症とは
「論文によっては200種類以上の症状があると言われていて、さまざまな症状が、しかも出たり消えたりするという非常に難しい所である。症状も軽い方からすごく重い方までものすごくいろいろなパターンがある」

症状は多岐にわたり、倦怠感や気分の落ち込み、頭痛、息苦しさ、不眠などを訴える人も多くいます。
平畑医師の調査では働く世代の後遺症も多く、患者の7割近くが仕事に影響が出ていると訴えています。

【ヒラハタクリニック院長 平畑光一医師】
「当院の場合で完全に寝たきりになる方々の多くは20~40代の基礎疾患もない健康だった方だった。そういう方々が、たった1回コロナにかかっただけでそこまで(寝たきり)いってしまうこともある。たかが倦怠感と言ってしまうのは非常に危険。その患者さんをものすごく追い込んでしまうことがある」

岡谷市に住む高校3年生の山田幸奈さんもオンラインで診察した平畑医師。

【ヒラハタクリニック院長 平畑光一医師】
「全身になかなか力が入らないといった状況なので、症状としてはかなり重い方」
「いろいろな病院にかかっても、どうしてもみてもらえなくて、最終的にうちにかからざるを得なかったというところが今の医療の問題点かなと思う」

幸奈さんの寝たきりの生活は1年余りになりました。

【リハビリの様子】
Q.痛いところある
幸奈さん)「ない」「無理~」

今はリハビリに励んでいますが、指先も思うように動かせないため、特別な機械を使ってあごの動きでスマートフォンを操作する練習を始めました。
友達とのメッセージのやりとりは幸奈さんの大きな支えになっています。

【山田幸奈さん】
「コロナが憎いと何回も思うけど、私みたいにコロナ後遺症で悩んでいる人がいると思うから、支援をつくってほしい」

本来ならば、青春まっただなかの17歳。
早く動けるようになって、この時間を取り戻したいと幸奈さんは願っています。

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