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100歳の華道家 現役で生け花の指導をするなど、活動を続けられる元気の源とは?【徳島】

2024年2月28日 20:30
100歳の華道家 現役で生け花の指導をするなど、活動を続けられる元気の源とは?【徳島】
小松島市で100歳を迎えた今も現役生け花の指導を続けている女性がいます。

100歳になっても活動を続けられる元気の源とは?


■100歳の華道家中井敏子さん



(小松島市 中井敏子さん)
「日に日にくださる。教え子が来たり、同僚が来たり、花は生きとうけんな。世話が大変です。」

小松島市の中井敏子さんです。

2月1日に100歳を迎え、自宅はお祝いの花であふれていました。

中井さんは月に3回ほど、自宅で生け花の指導を行っています。

この日は、近々開かれる華道展の準備のため教え子の作品作りを手伝っていました。

(小松島市 中井敏子さん)
「きれいな、これ置く?こうしたら、きれいなんよ。こう上向いて。自然のようにする。特に池坊は細かいところ言われますわ」

中井さんが生け花を始めたのは、富岡高等女学校に通っていた女学生のころ。

花嫁修業のためでした。

小学校の教師になってからもクラブ活動で児童に生け花を教えたり、学校を花で飾ったりしたそうです。

生け花の流派の一つ「池坊(いけのぼう)」徳島支部で17年、支部長を務め、現在は最高職位の「総華督(そうかとく)」として後進を指導しています。

(小松島市 中井敏子さん)
「(Q.バランスはどういうところが難しい?)(バランスは)もう頭(の中)じゃ、七五三!これが中心、七、主役や」

(中井さんの弟子 細井ひとみさん)
「五というのはこれ(主役)を支える分量あと、三というのはポイントみたいなところが三の割合で、七五三というのをいつも言われるけど、自分なりに生けてても、ポイントがはっきりしないというようなことを先生から注意を受けたりする」



■100年の道のりは山あり谷あり



現在、一人暮らしの中井さんですが教え子がやってくることが多く、自宅はいつも賑やか。

食事は1日3食、自分で用意して食べているそうです。

(小松島市 中井敏子さん)
「いただきますネギが甘いだろ?」

(中井さんの弟子 細井ひとみさん)
「このお揚げさんは、どこで買ったんですか?」

(小松島市 中井敏子さん)
「とくし丸」

1941年から小学校の教諭として働いていた中井さん。

授業中、空襲に遭ったことは今でも忘れられません。

(小松島市 中井敏子さん)
「空襲が鳴ってもお花の稽古は行っきょった。生徒を教えてたら空襲警報が鳴って、急いで『はよ、家に帰りましょう』って言って一列に並べて帰らせた。そしたら空襲警報が盛んになって上みたら飛行機が飛んできてる。弾が二つ並んできよるんよ。『はよ、みな防空壕入れ』って言って、入った途端に真っ黒になってバサーッ。亡くなった先生が二人おった」

戦後ほどなく国鉄に勤めていた進さんと結婚。

二人の子宝に恵まれ、たくさんの家族ができましたが37年前には、辛い思いも経験しました。

(小松島市 中井敏子さん)
「(Q.100年の人生で一番何が辛かったですか?)ほりゃ、旦那が死んだ時じゃわ、一番辛いんわ。死に際に『ありがとう、よう世話してくれた』って言うてくれたら涙が・・」

愛する夫がガンでこの世を去った後、「人生はこれから」と気持ちを切り替えさらなる高みを目指したという中井さん。

京都にある池坊の学校に通いはじめ、2010年には家元から永年表彰を受けました。

■中井さんの元気の源とは



中井さんは今、10人の弟子を抱えています。

花材は「季節感が大事」と庭にあるものを使うことが多いそうです。

(中井さんの弟子)
「風情いかすんだったら庭の自然なものを取り入れるというのがきれいんです。(先生は)プラス思考ですね。何でも。何にでも興味があるオシャレでも興味がある」

100歳を迎えて今なお好奇心旺盛、スマホも持っていて、今は、情報アプリのLINEを習得中だそうです。

先週末、徳島市で池坊県連合支部による華道展が4年ぶりに開かれました。

約150点の作品が並ぶ中、中井さんがほかの支部員7人と制作した大きな作品が存在感を示していました。

(小松島市 中井敏子さん)
「春を招く。梅に椿の花が咲きかけた。冬から春にむかっていこうとする姿を自然の姿を映してる」

枯れた枝も命の姿ととらえる池坊の理念。

室町時代から続く伝統を大事にしながらも中井さんは、新しいスタイルを学ぶため、今も勉強会に参加し研鑽を積んでいます。

(小松島市 中井敏子さん)
「(生き花は)楽しいことはない、苦しみや。今、生きてるのと同じで(作品が)出来上がるまでは子どもが生まれるのと一緒。苦しみ。出来上がった後で楽しみができる」

生け花を続けてきたからこそ、たくさんの仲間や弟子ができた。

今なお現役でいられる元気の秘訣は何でしょうか?

(小松島市 中井敏子さん)
「(Q.元気の源は何と思いますか?)心配ごとなしに何でも好きなことをしとる」

中井さんは幼いころから野に咲く花が好きだったといいます。

戦争を乗り越え、生きとし生ける者へ愛を注ぐその心が神様に愛されているのかもしれません。



■裏千家の茶道も嗜む中井さんは終身師範。今後も、体が元気なうちは生け花を続けていきたいと話している。

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