能登半島地震の教訓をどう生かすのか 「地域の自主防災活動」【徳島】
鳴門市の里浦小学校での避難訓練
まず1月19日に、徳島県鳴門市で地域の自主防災会と学校が連携して行った訓練の模様です。
(放送)
「緊急地震速報、大地震です」
鳴門市の里浦小学校ではこの日、休み時間中に大地震が発生したという想定で避難訓練が行われました。
地域の避難所でもある里浦小学校の周囲は元々塩田地帯で、今は畑になっていますが近くには海もあり津波や液状化のリスクが高い地域です。
「近くのヘルメット被っていいから、各自逃げましょう。走らないよ、ゆっくり」
揺れが収まると、児童はヘルメットをかぶり運動場へ避難します。
教職員が一緒にいるとは限らない休み時間の発災、最初の避難は児童ひとりひとりの防災意識が重要になります。
「5年生2名欠席で、25人全員います」
(放送)
「ただいま大津波警報が発表されました。ただちに近くの避難場所へ避難してください」
全員が無事に避難を終え安心したのも束の間、大津波警報が発令されました。
里浦小学校は3階建てで、2つある校舎に分かれて屋上へ移動しました。
(参加した児童)
「本番もできるように真剣にやった」
「訓練だったけど怖かった。喋らずに避難することに気をつけました」
今回の訓練は、里浦町の自主防災会がサポート。
消防などの協力で、揺れや火災を体験できる装置が運動場に設置され、能登半島地震と同じ震度7の揺れを体験します。
記者も起震車に乗り込みます。
(米田夢実記者)
「揺れが来るってわかっていても、かなり恐怖を感じます。15秒間だと1分、2分とかなり長く感じました」
能登半島地震では、火災によっても多くの被害が出ました。
煙がたちこめると想像以上に視界が悪くなります、口をハンカチなどで覆い姿勢を低くして避難します。
(体験した児童)
「トイレとかにいたらやばいと思いました」
「ほんまにこのぐらい揺れるんやなって思いました。まず自分の身だけは守ろうかなと思いました」
(里浦小学校 立田誉之校長)
「地域の方が非常に協力的で、地域の子どもの命を地域で守ろうという気持ちで消防団、自主防災会、いろんな方が学校に支援をしていただいております。こういう訓練を積み重ねることによって、子どもが自分で自分の命を守る意識というのを高めて、学校で命を失うことがないように気を付けてまいりたいと思います」
阿南市で子ども達へ地域防災活動を継承しようと活動している自主防災会は
阿南市橘町の自主防災会で副会長を務める山本正弘さん。
学校での出前授業のほか、だれでも参加できる防災イベントを開くなど、地域でつながる防災活動に力を入れています。
(橘町地域自主防災会 山本正弘副会長)
「次世代を担う子どもたち、その子どもたちに次の南海トラフが起こった時にリーダーとして頑張ってもらえるように、現代の子どもたちや保護者に向けてもどんどん発信していかなあかんなという思いで、学校で防災学習にも取り組まさせていただいております」
山本さんは過去の災害から学べることを、子どもたちや地域の人に伝えています。
(橘町地域自主防災会 山本正弘副会長)
「お正月に起きた能登半島地震、阪神淡路大震災どちらも震度7の揺れによって家屋が倒壊しております。特に能登半島で顕著だったのが古い家屋がつぶれてしまったと。子どもたちに、古い家は古いなりにどうしたら強い揺れに耐えれるのかっていうことを耐震化のお話をしたり、それから新しい家でも家具が転倒するよ、家の中ぐちゃぐちゃになるよ、それを防ぐにはどうしたら良いのっていうことで、家具の固定だったりとかそういったことを話し、それが実践できるようにということでやっております」
また山本さんは学校を含め地域が連携して防災に取り組むことで「顔が見える関係」ができ、それが避難生活にも関わってくると考えます。
(橘町地域自主防災会 山本正弘副会長)
「一緒に避難所暮らしをするであろう方々は、そこで初めて顔を合わすのではなく、普段の生活の中で顔を知り、名前を知り、挨拶を交わしている仲なら、避難所運営の方もよりスムーズにいくのではないかという思いもございます」
いつ来るかわからない大地震、津波や火災など地震によって引き起こされる災害もあります。
あらゆる事態を想定し身を守る知識をつけることが大切です。
(橘町地域自主防災会 山本正弘副会長)
「防災は人と人とのつながりだと、わたし自身いろんな活動を通して思っております。自分の命を自分で守り、家族やご近所みなさんの命をみんなで守って力をあわせて守っていける人間力、1人も残さずに避難できるような体制づくりというのを、時代が変わってもぜひ続いていけれるようにと思っております」