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【定年後の再雇用】「給料は半分に」雇用条件の変更を巡り訴訟も 福岡

2024年4月23日 18:14
【定年後の再雇用】「給料は半分に」雇用条件の変更を巡り訴訟も 福岡
定年後の再雇用を巡り訴訟も

定年後の再雇用制度について考えます。再雇用が広がる中で、職務内容と待遇に不満を感じる人も少なくないようです。福岡では、一方的な通告によって不利益な条件に変更されたとして訴訟が起きています。

福岡の街で、再雇用について聞きました。

■会社員(66)
「嘱託という形で働かせてもらっている。まだ気持ち的にも体力的にも若いしと思っています。だから、まだやれるまではできれば勤めたいなと思っています。」

■不動産会社に勤務(75)
「55歳から60歳までは関連会社に出向しました。給料がガクンと減った。5分の1ぐらい。」

■証券会社に勤務(62)
「残業がしづらくなったというのはありますが(業務内容は)あまり変わらないですね。給料が当然下がるので、それはちょっと影響は大きいといえば大きいですが、思ったよりも生活は厳しいかなというのは少し感じました。支出を抑えるとかで何となくなじんではきています。」

いまや、広く浸透してきた定年後の再雇用。国は2013年度以降、希望者全員を再雇用の対象とするよう企業に義務づけています。

厚生年金の支給開始年齢が原則65歳からに引き上げられたため、定年後に年金を受給するまでの生活を維持するためです。

厚生労働省によりますと、65歳までの高齢者雇用を実施している企業は去年6月時点で99.9%に上り、
企業によって違いはあるものの、再雇用後の給与水準は定年直前と比較して平均で8割弱だということです。

しかし、再雇用の条件を巡ってトラブルも起きています。

ことし2月、福岡県柳川市の私立高校・杉森学園を相手取り訴えを起こしたのは、60代の再雇用の教諭2人です。22日、福岡地方裁判所柳川支部で第1回口頭弁論が行われました。

訴えによりますと、教諭2人は杉森学園で30年以上勤務し、定年退職した後、週5日間、同じ業務内容で働く契約を1年ごとに結び、勤務していました。

しかし去年9月、学校側は一方的に雇用条件の変更を通告し、2人はことし4月から、週3日しか勤務できず、部活の顧問や担任などの業務からも外されたといいます。

月額30万円以上あった給与は半分近くに減る見込みです。

■原告の教諭
「全く納得はできておりません。再雇用実施の問題も使い捨てといいますか、長年頑張ってきたものに対して非常に粗末な扱い。社会の安全弁として使われているという面も感じます。」
「生活が年金をもらうまでやっていけるのかと。正直、退職金なり自分たちが今まで蓄えてきたものを食い潰していくしかないわけですね。それに対する不安はかなり大きいです。」

2人は元の雇用条件で働けることの確認と、差額分の給与の支払いを求めています。

一方、学校側は訴えの取り下げを求め、FBSの取材に対し「この件についてはよく承知していませんが弁護士の方に任せています」と話しました。

再雇用者の生活に直結する雇用条件の変更が裁判所にどう判断されるのか。第2回口頭弁論は6月17日に開かれる予定です。