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【中継】裁判が閉廷 元漁協組合長射殺で工藤会トップの野村被告は無罪「指示を認めるに十分合理的な立証がされていない」被告側は「有罪部分」について上告 福岡高裁

2024年3月12日 16:04
【中継】裁判が閉廷 元漁協組合長射殺で工藤会トップの野村被告は無罪「指示を認めるに十分合理的な立証がされていない」被告側は「有罪部分」について上告 福岡高裁
被告側は「有罪部分」について上告

福岡高等裁判所から中継です。裁判を傍聴・取材している樋口記者とつながっています。樋口さん。


■樋口淳哉記者
はい。福岡市中央区の福岡高等裁判所前からお伝えします。10階の法廷で開かれていた裁判は、1時間ほど前に閉廷しました。

裁判は午前10時から始まり、野村被告の一審判決が破棄され、無期懲役の判決が言い渡された際には、法廷内では慌ただしく記者の出入りがありました。なかなか席に戻ってこない記者もいました。

■松井礼明アナウンサー
「判決の瞬間、野村被告の様子はどうでしたか。」

■樋口記者
はい。野村被告は入廷してから裁判長をずっと見ていました。判決を言い渡されている際は、うなずいたり、かけていた眼鏡を外すなどしていました。

■松井アナウンサー
「そして今回、死刑判決が破棄され、無期懲役の判決が言い渡されましたが、その背景にあるのはどういったことなのでしょうか。」

■樋口記者
はい。1審判決では4つの事件で野村被告は「首謀者」と認定されていましたが、今回の裁判で一番重い殺人の罪に問われていた1998年の元漁協組合長が射殺された事件で、2審では「首謀者」とは認められず「無罪」となりました。

背景にあったのは、1審判決では組織として厳格な統制があり野村被告の指示があった推認しましたが、控訴審では1998年当時、野村被告の指示があったとまでは立証されていないと判断したことが要因とみられます。

4つの市民襲撃事件のうち、元漁協組合長の射殺事件について、判決では工藤会トップの野村被告の関与について「指示を認めるに十分合理的な立証がされておらず、論理則、経験則に照らして不合理で是認できない」と指摘し、1審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。

ナンバー2の田上被告については共謀を認め、無期懲役とした1審判決を支持し、控訴を退けました。

そして、新たに入った情報ですが、野村被告と田上被告の弁護士が取材に応じまして「有罪部分」について上告したということです。

■スタジオ
改めて、現在、野村被告と田上被告が起訴されている4つの事件を見ていきます。

まず1つ目、1998年に港の公共工事への介入を断ったとされる元漁協組合長が射殺された唯一の殺人事件。

2つ目は2012年に起きた工藤会の捜査を長年担当した福岡県警のOBが撃たれた元警部銃撃事件。

2013年には、野村被告を担当した看護師の対応に不満を持ち襲撃したとされる事件。

そして4つ目、2014年、1つ目の事件で射殺された元漁協組合長の孫の歯科医師が見せしめとして襲撃された事件です。

この市民を標的にした4つの事件について、1審で2人はいずれも関与を否定していました。

しかし、福岡地裁はすべての事件で2人が関わったと「推認」、つまり推測されるとして、トップの野村被告には死刑を言い渡していました。

2審では、被告側の主張が一転します。元漁協組合長射殺事件以外の3つの事件で「田上被告らが犯行を指示した」と主張しました。

そして12日、福岡高裁は元漁協組合長射殺事件について野村被告を無罪として1審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡す結果となりました。