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【なぜ?】都心で幹線道路寸断、18年経っても開通せず 既に立ち退いた家や、新しく建ったスーパーなども…道を塞ぐのは由緒ある寺の“200基の墓”「全ての墓と本堂を合わせて一つの寺だと考えている」

2024年5月31日 19:00
【なぜ?】都心で幹線道路寸断、18年経っても開通せず 既に立ち退いた家や、新しく建ったスーパーなども…道を塞ぐのは由緒ある寺の“200基の墓”「全ての墓と本堂を合わせて一つの寺だと考えている」
幹線道路のど真ん中になぜ墓地が?

 東京・練馬区の一直線に伸びる幹線道路、それを分断しているのは約200の墓です。幹線道路のど真ん中になぜ墓地が?その理由とは?

 墓に塞がれているのは、東京都が整備している「放射第7号線」と呼ばれる道路です。東京都心と埼玉県狭山市をつなぐ予定となっていますが、練馬区の約2㎞の工事区間に約200基の墓が立ち並んで開通できない状態になっています。2006年にこの区間の工事が認可され、その後、用地買収が始まりました。この工事区間の2km区間についても、約200軒の建物がすでに立ち退いています。しかし、事業開始から18年経った現在でも道路は開通していません。当初2013年に完成を予定していましたが、延期を重ね、現在2028年完成予定となっています。

 近隣住民は「待てど暮らせど(道路が)できない」、また17年前に立ち退いた人は「何のために立ち退いたのか、という気がします」などと語っています。

 この計画道路「放射7号線」に並行している道は、幅が狭く夕方に渋滞が発生し、すれ違うために車両が歩道に入ってくることもあり、危険な状態になることもあるそうです。また、開通予定の道路周辺にはスーパーやドラッグストアも開店していますが、「放射7号線」が開通していないため、車では行けない状態になっています。

 なぜ墓の立ち退きは進まないのでしょうか?立ち退きを求められている日蓮宗善行院の住職は、「円満に速やかに寺と墓を新しい場所に移すことには同意」しています。しかし、東京都は「道路建設に関わる部分の代替地しか保証しない方針」で、約200基の墓のうち約70基が補償の対象外になっています。

 この日蓮宗善行院は500年以上前に開かれ、地域に住む人の「菩提寺」として先祖代々の墓が立ち並ぶ由緒ある寺だということです。

 また、墓を動かすには、「持ち主全てに改葬の同意を得る」「新しい墓地の許可申請、改装の許可申請、元の墓の廃止許可申請」「新しい墓地周辺住民への説明会」「継承者や縁故者がいなくなった『無縁墓』を調査し、遺骨を合祀する」「土葬していた遺体を掘り返し火葬する」などの必要があり、家の立ち退きよりもすることが多いといわれています。

 住職は「私は全ての墓と本堂を合わせて一つの寺だと考えています。約70基の墓を残して移転はできない。代替地も提示されたが、全ての墓が入りきらない」と話していて、東京都との話し合いは平行線だということです。

 「放射7号線」の道路計画自体は、1962年に決定していたということです。なぜもっと早く寺と交渉してこなかったのでしょうか?東京都の担当者は、「まとまった用地が確保できたところから順次工事を行っています。個別の交渉については、回答を控えさせていただきます」としています。東京都は、今後部分的な開通を検討していますが、全面開通のめどは立っていないということです。

(「情報ライブミヤネ屋」2024年5月24日放送)