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【独自解説】『上げ下ろし』『フェルマータ』など厳しいルールがかつて受け継がれていた宝塚歌劇団「全員が加害者であり全員が被害者」 年内に「外部の専門家を入れた調査委員会」設置へ

2023年11月21日 19:00
【独自解説】『上げ下ろし』『フェルマータ』など厳しいルールがかつて受け継がれていた宝塚歌劇団「全員が加害者であり全員が被害者」 年内に「外部の専門家を入れた調査委員会」設置へ
宝塚歌劇団、全団員に聞き取りへ

 宝塚歌劇団の劇団員が死亡した問題を巡り、劇団側と遺族側の対立が続いています。そんな中、劇団側がすべての劇団員や音楽学校の生徒に聞き取りを進めるとともに、年内にも「外部の専門家を入れた調査委員会」の設置を目指していることが分かりました。果たして、全容解明に繋がるのでしょうか?またかつてあったとされる厳しい「独自ルール」の実態とは?「ミヤネ屋」独自解説です。

「甘過ぎる判断」調査チームの事務所に関係者で遺族側「看過できない」

  11月14日、宝塚側の会見で外部弁護士9人の調査委員会による調査結果が発表されました。調査委員会は、宙組劇団員や遺族など70人以上から、延べ1500時間に及ぶヒアリングを行ったということですが、劇団員のうち4人はヒアリングを辞退したということで、その理由は差し控えるということでした。報告の内容は、過重労働は一部認めるものの、いじめやパワハラは確認できなかった、というものでした。今回、聞き取りの対象を広げることについて、阪急阪神ホールディングスの幹部は、過去のトラブルに触れ「音楽学校でも、かつて生徒が飛び降りる事案があった。そこから色々と変えてきたつもり。雰囲気や慣習は組によっても違うし音楽学校でも違う。だから今回のことを受けて宙組以外にも聞き取りを行うことにした」と話しました。

Q. 11月14日の会見に調査した弁護士が一人も出てこなかったのは問題では?
(嵩原安三郎弁護士)
「内部調査をした弁護士を伴わなかったのは、この並びに弁護士が座っていると、内部調査ではなく代理人のようになってしまうのを嫌ったのではないかと思います」

 また、調査チームに劇団側の関係者がいたという指摘があります。劇団が調査を依頼した弁護士事務所に、阪急阪神東宝グループのH2Oリテイリングの取締役監査等委員がいたということです。宝塚歌劇団が属する阪急電鉄のある阪急阪神ホールディングスとH2Oリテイリングは同じ阪急阪神東宝グループの関連企業になります。

 この指摘に関して劇団側は、「依頼先は宝塚歌劇団や阪急電鉄と関係のない事務所である。当該弁護士を外して調査することを依頼している。法律事務所内でも情報遮断措置をとっていると聞いている」としています。対して遺族側は、「劇団の調査委員会に関する、『当団から独立した形で実施された』との説明は事実に反する。弁護士が調査委員会のメンバーであったか否かに関わらず、この問題は看過できない」と反発しています。

Q.劇団は、その弁護士は外して調査しているといっていますが、やはり影響があるように感じてしまいますよね?
(嵩原弁護士)
「これはガイドラインには反していません。しかし、『反してないから良い』ではなく、何か調査に影響しているとみられること自体が問題なので、関係者が所属している事務所に頼むべきではなかったと思います」

 亀井正貴弁護士は、今回の問題点について「劇団側が“調査チーム”についてあたかも『第三者委員会』に近い独立性・中立性のある委員会であるかのような誤解を与える説明をしたことが問題。最初から『第三者委員会』設置の措置をとらなかったことが甘過ぎる判断。劇団側の対応に問題を感じる」と話しています。

Q.第三者委員会というのは、どういう立ち位置なのですか?
(嵩原弁護士)
「いわゆる証人尋問においての反対尋問の立場になります。『君はウソをついてるんじゃないか』という目で見ないといけないし、『今言っていることは、周囲の目を気にして言えないんじゃないか』というように、口から出た言葉をそのまま受け止めるのではなくて、その裏などいろんなことを見ないといけないのです。また、関西の人間だとなにかしら阪急に関わることがあって、忖度が働いたようにみられてしまうので、いっそ東京に発注するというような“見せ方”も大事です」

「阪急電車へのお辞儀…」厳しい宝塚の「伝統ルール」、過去には見直しも

 厳しい“伝統のルール”があるという宝塚歌劇団ですが、2020年ごろまでに、過度な負担が課せられた・時代にそぐわないなどを理由に生徒間に伝わっていた“不文律”を廃止したということです。例えば、「先輩が乗車している可能性のある阪急電車へのお辞儀」を廃止、「遠くの先輩に大声で挨拶」も黙礼へ、「先輩への挨拶は『はい』『いいえ』のみ」も廃止、「上級生と下級生1対1の指導」も廃止、「下級生が上級生に学校生活に関する質問をノートに記し提出」を廃止などです。

(嵩原弁護士)
「例えば、『はい』『いいえ』のみの挨拶を廃止したといいますが、問題はそこではなくて、下級生と上級生の活発な議論が無いのが問題なのであって、そこを促進させるであるとか、議論が無いことでどんな不具合があるのかを話し合うとかをしないと、形式的に目に見えて良くないと思う所だけを廃止しても意味がありません。これは、企業のパワハラ案件も同じです。なぜそれが起こっているのか?なぜ止めないといけないのか?をみんなで議論することが大事です」

 元タカラジェンヌの東小雪さんによると、1年目の団員は6年目の団員に直接質問できず、一つ上の団員にしか質問できないきないため、何段階もの人を介して質問をする「上げ下ろし」や劇団内部の事情を外部に話すと、同期全員が罰せられるという「外部漏らし」、一人の下級生を上級生数人で囲み暴言を吐いたり大声で怒鳴る「フェルマータ」というものなど、以前は独自のルールがあったということです。東さんは、これら独自のルールが受け継がれる理由を「『この厳しさに耐えてこそ舞台があるから頑張らなければならない』『自分がやられて乗り越えたから下級生にも必要だ』などと思ってしまい、疑問を感じることがない。全員が加害者であり全員が被害者」だと語っています。

Q.こういう伝統のルールをなくしても、宝塚のクオリティが下がることはないと思うのですが?
(嵩原弁護士)
「重要なのは、舞台での演技の精度を高めていくことであって、生活を全て支配するルールなどは意味がないんですよ。ルールが変わってどう良くなったのか?どういう議論があったのか?ということが欲しいのです」

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(「情報ライブミヤネ屋」2023年11月20日放送)