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バター、はがき、ビールも? 値上げの6月

2017年5月31日 17:08
バター、はがき、ビールも? 値上げの6月


■“値上げ”の6月

 森永乳業と明治は6月1日出荷分から「森永北海道バター」「明治北海道バター」など3つの商品で、それぞれ5円ずつ値上げを行う。原因は原材料費の高騰だという。

 「はがき」も価格が変わる。日本郵便は6月1日から「通常はがき」の料金を、52円から62円に値上げする。人件費の上昇などが理由。ただ、「年賀はがき」は、一度にまとまった枚数を届けられ、配達にかかるコストが「通常はがき」に比べて安いため、これまで通りの52円、定形の封書も今の82円のまま据え置きとなる。


■酒類値上げ、その事情

 また、ビールなどの酒類も一部で価格が上がる見通しだが、バターやはがきと少し事情が異なる。

 大型のスーパーなどで安くお酒が売られているが、これには仕組みがある。商品価格は本来、仕入れ原価に人件費や光熱費などを加えて設定するが、スーパーなどはメーカーや卸売業者から「販売奨励金」をもらっているところもあり、これを元手にお酒を安く販売することで集客の目玉とする。

 このため、時には赤字覚悟の安売りをしているところもあるという。こうした状況などを踏まえ、国税庁は酒税法などの法令を一部改正し、6月1日から施行される。

 今後、原価を下回る価格で販売するなどすれば、酒類の販売免許が取り消されるなど厳しい行政処分が下される可能性もあり、過度な酒の安売りにつながらないようになるという。

 そうなると、消費者は安い値段で買えなくなる可能性もある。あるビールメーカーは「今回の規制で今後、売り上げなどマイナスの影響が出る可能性はあるとみている」と話していた。


■どのくらい値上がりする?

 今回はビールメーカーが値上げをしているわけではなく、スーパーなどの小売店次第なので一概には言えないが、一部で価格は見直されそうだ。

 例えば酒類販売大手「カクヤス」はホームページで、「一部商品価格改定のお知らせ」を掲載している。この中で、「大変心苦しいお知らせとなりますが、一層努力してまいる所存でございます」と、これまでの価格では販売できない苦しい胸の内をにじませている。


■実感ない“豊かさ”

 政府は様々な指標を使い、景気が上向きになっているとしている。先月の有効求人倍率は1.48倍と、バブル期を上回る高い水準だったし、今年1月から3月期のGDP(国内総生産)の成長率は実質で0.5%のプラスと、5期連続のプラス成長とうたっている。

 しかし、こうした値上げが続く中で、消費の冷え込みを懸念する声は少なくない。実際に豊かになっていると感じている人は、それほど多くないのではないか。