戸籍上の性別変更…実質的に“手術”求める要件も あす最高裁が憲法判断へ
戸籍上の性別変更をめぐる裁判は25日、最高裁で憲法判断が示される見通しです。裁判のポイントを確認します。
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現状、戸籍上の性別を変更するには、2人以上の医師から「性同一性障害」であるとの診断を受けた上で、法律で定められた5つの要件を満たす必要があります。
●性別変更に必要な要件(性同一性障害特例法)
(1)18歳以上である
(2)現在結婚をしていない
(3)未成年の子供がいない
(4)生殖腺や生殖機能がない
(5)変更する性別の性器に近い見た目をもつ
このうち「生殖機能をなくすこと」や「性器の見た目を変更する性別に近づける」については、実質的に手術を受けることを求める要件となっています。
今回の裁判の申立人は、「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反だ」として、手術を受けなくても性別変更を認めるよう求めています。
性別変更の要件について最高裁で争われるのは、今回が初めてではありません。最高裁は2019年にも別の人の申し立てについて審理しました。
この時、最高裁は「変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、親子関係などに関わる問題が生じ、社会に混乱を生じさせかねない」などとして、「現時点では、憲法に違反するとはいえない」と「合憲」の判断を示しました。
一方でこの時、最高裁は、憲法に違反しないかどうかは「不断の検討を要する」とも述べていて、今後、要件が変わっていく可能性もゼロではない、という見方もできました。
この判断から4年がたち、最高裁は15人の裁判官全員で審理を行い25日、結論を出します。社会的状況の変化を踏まえて最高裁がどのような判断を示すのか、注目されます。