食物繊維たっぷりな隠れスーパーフード!愛知県・春日井市のご当地グルメ“食用サボテン”が万能すぎる
日本有数のサボテンの産地・愛知県春日井市。今月21日に行われた「春日井まつり」では、“食用サボテン”を取り入れた串焼きやたこ焼きなどを販売する飲食ブースが多数並ぶなど、ユニークなサボテングルメも有名だ。そもそも、なぜ春日井市でサボテンが有名になったのか?知れば知るほど、食べたくなる“食用サボテン”の魅力と味に迫る。
緑黄色野菜と果物の両方の栄養素が豊富に含まれ、さまざまな効果が期待できる「食用サボテン」。春日井市商工会議所によると、糖尿病による視覚障害や血管などの二次障がいを緩和すると言われているβ-カロテンや各種ビタミン、動脈硬化症の原因となる悪玉コレステロールの酸化などを抑制する効果が期待される食物繊維、疲労回復への効果が期待できるカルシウムなど様々な栄養素が含まれているそう。なかでも、食用サボテン100gに対して、カルシウムは牛乳の2.7倍!さらに熱に強く、少ない水分でも育つ性質から、国際連合食糧農業機関が「食糧危機を救う植物になりうる」と発表。まさに、世界中から注目を集める“スーパーフード”なのだ。
春日井市によると、春日井市とサボテンのはじまりは昭和28年。果物栽培が盛んな桃山地区で、ある農家が「緋牡丹」という真っ赤なサボテンを副業として栽培したことがキッカケ。赤く美しい色合いで人気がありながらも、栽培が難しく高価だった「緋牡丹」。しかし、果樹栽培で培った接木技術を応用し、トゲ座の部分を切ると出てくる小さな芽を、種子が安くてよく育つ「竜神木」に接木する方法を考案。この果樹栽培ならではの観点から生まれた栽培方法が、サボテンの大衆化に大きく繋がった。そんななか、昭和34年に発生した伊勢湾台風で、多くの果樹が壊滅状態へ。サボテンは被害が少なかったことから、果樹栽培からサボテン栽培に主体を切り替え、市内で広くサボテン栽培が普及。
全国の栽培者がマネできない実生づくりによって、平成18年まで実施された「農林水産省作物統計統計」では、「サボテン及び多肉植物」の出荷量で全国1位を記録するまで成長した。
変化する食感と独特な酸味がアクセント
独特な酸味と、オクラのような粘り気が特徴的な「食用サボテン」。キュウリのようにシャキシャキした食感で、加熱するとトロトロとした口当たりに変化する。料理の主役というよりは、アクセントを加える“名脇役”としてぴったりな食材だ。春日井市民からは「サボテンは食べるもの」、「味が強すぎないから、どんな食材や料理にも合う」など“食べるもの”としての評価も高い。
また、薄くスライスした食用サボテンをポン酢とかつお節であえて、食卓のひと品として取り入れている家庭も。さらに春日井市では、ハンバーガー屋やイタリアンなど幅広いジャンルの飲食店が29店舗参加する「サボテングルメプロジェクト」を実施。食用サボテンを起用したグルメ開発など、食用サボテンの魅力を広める活動を積極的に取り組んでいる。
街の人々の様々なアイディアから、“食用サボテン”の新しいグルメや可能性が次々と生まれている愛知県春日井市。「春日井市役所」経済振興課 観光・サボテン担当の加茂愛海さんは、「サボテンという新しい食材に向き合って、どうやったら活かせるのかを考えていきたい。サボテンを食べることは、春日井の個性だと思うので、街の特産としてこれからも推していきたい」と今後の展望を語った。