コロナ禍で深刻…“献血離れ”防止へ キッズスペース確保や記念品など…若い世代へ向けた工夫も
コロナ禍でのイベントの減少やリモートの普及により、献血者の数が減少しています。冬は体調を崩す人も増えて服薬等の理由で献血ができず、血液がさらに減ってしまうといいます。仕事や家事が忙しいなどの理由で、10代から30代の献血者数は10年で4割ほど減少。自治体では特に、若い世代の献血者を増やすために様々な工夫を行っています。
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「お出になりませんね」
まるで“営業マン”の様な粘り腰で電話をかけているのは、東京・武蔵野市の献血ルーム吉祥寺タキオンの職員です。
「都内で400ミリの血液が必要となっておりまして」
誤解を与えないよう事前にホームページ(HP)で予告した上で、過去に献血を受けたことがある人に、再度の献血への協力をお願いしているのです。コロナ禍でリモートが普及したり、イベントの参加も減ったりしたため、2020年度は献血者が大幅に減少しました。
特に深刻なのが、若者の“献血離れ”です。
献血をしたことがない10代学生
「献血はまだ1度もしたことがないですね」
献血をしたことがない20代学生
「バイトとか授業がいろいろあると、なかなか時間も作れなくて」
厚生労働省によると、仕事や家事が忙しいなどの理由で、10代から30代の献血者数は10年で4割ほど減少。冬は体調を崩す人も増えて服薬等の理由で献血ができず、血液がさらに減ってしまいます。
輸血用の血液製剤はもちろん、実は薬にもなるなど無駄なく使われている血液。大きな災害や事故が起きた時に不足する恐れがあるのです。
そこで、献血ルーム吉祥寺タキオンでは都内で唯一、キッズスペースを用意していて、小さい子どもを預けて安心して献血することができます。
東京都赤十字血液センター・有泉美穂さん
「10代から30代の方に献血を身近に感じてもらい、協力いただけるように取り組んでいます」
他にも東京都では、献血を1回すると、人気キャラクターとコラボした記念品などがもらえるキャンペーンを実施。10回献血すると、高級品の「今治タオル」を選ぶこともできます。また、埼玉県も高校生限定でスマートフォン用カメラレンズなどの記念品を用意するなど、若い世代を増やすための工夫をしているのです。
実際、通算15回の献血をした10代の大学生も、当初は記念品が目的でしたが、「血で困っている人の話は色んなところで聞くので、自分の血が役にたつなら」と話します。
“困った時はお互いさま”。若い人にも積極的に献血に参加してほしいということです。