【専門家は】轟の滝の水質検査でノロウイルス 患者の便から検出も遺伝子型は一致せず
■熊本県健康危機管理課 弓掛邦彦課長
「8月23日に採水した3か所分については、滝つぼと滝のすぐ上の2か所からノロウイルス(GⅡ)が検出されております」
この問題は8月12日以降、天草市の轟の滝や周辺の川で川遊びをした人たちに嘔吐や下痢などの症状が相次いでいるものです。
■地元の中学3年生(8月23日)
「先にお腹が痛くなって、下痢と嘔吐と次の日に発熱、38度4分ぐらいまで上がりました。ちょっときつかったですね」
熊本県によりますと、27日午前10時の時点で医療機関から保健所に報告があった症状のある人は124人で、前日からから15人増えました。医療機関以外からも93人体調不良を訴える連絡が寄せられているものの、124人と重複する人もいる可能性があるということです。
熊本県は、8月19日と23日に滝つぼとその周辺あわせて4か所の水を採取して水質検査を実施しました。その結果、滝つぼと滝つぼのすぐ上流の2か所からノロウイルス(GⅡ)が検出されたことを明らかにしました。
また、病院を受診した人の便の検査(医療機関が実施11人、保健環境科学研究所が実施5人)では、16人中6人(医療機関実施が2人、保健環境科学研究所実施が4人)からノロウイルスが検出されました。このうち、保健環境科学研究所が実施した4人の便から検出されたノロウイルス(GⅡ)については、遺伝子型まで一致したということです。
食中毒などで耳にする「ノロウイルス」。感染症に詳しい専門家は、その特徴についてこのように指摘しています。
■済生会熊本病院消化器内科 田中基彦医師
「病原性細菌というのは、多くは30℃から40℃の温度で増殖しやすい。水の流れがよくなかったとか、そういった増殖する菌が検出されるような環境があった可能性があったのではないか」
しかし、水と便からそれぞれ検出されたノロウイルスの遺伝子型が一致せず、熊本県は「ノロウイルスが原因と断定はできない」としています。
これについて、田中医師は。
■済生会熊本病院消化器内科 田中基彦医師
「水質検査の遺伝子型と便検査の結果が異なるようですので、 滝の水が患者のノロウイルス感染の原因であったとは異なるのではないかと」
大勢の人に体調不良をもたらした原因は特定できるのでしょうか。
■熊本県健康危機管理課 弓掛邦彦課長
「自然の川なのでどこまで追えるかは難しいと思っているが、現段階ではできる限りの調査をしたい」
熊本県は、今後も水質検査を行うなどして原因を分析する方針です。