連続骨折「ド・ドドンパ」原因は“ホイールキャリア”と“乗車姿勢” 事故調が報告書 山梨県
富士吉田市の富士急ハイランドのジェットコースター「ド・ドドンパ」で乗客が首の骨を折るなどの事故が相次いだ問題で、国の事故調査部会は24日、車両の「ホイールキャリア」や乗客の「乗車姿勢」が原因とする報告書をまとめました。
この問題は富士急ハイランドの「ド・ドドンパ」で、2020年12月から21年8月にかけて乗客が首の骨を折るなどの事故が12件相次ぎ、12人が重軽傷を負ったものです。
国土交通省の事故調査部会によりますと、事故が起きた車両はすべて、逆走事故の対策として2019年11月以降に順次、導入が進んでいた新しい「ホイールキャリア」の車両でした。
「ホイールキャリア」とは車両の車輪などが付いた機械部分のことです。
調査部会は「浮き上がり防止車輪」を従来の1個から2個に増やした新しい「ホイールキャリア」と、「ド・ドドンパ」のみに採用されていた「空気入りタイヤ」が乗客の頭部に作用する加速度を増大させた可能性が高いとしています。
また、負傷した乗客の多くは高さ49メートルの大型ループ付近で痛めたと申し出ていて、ダミーを使い衝撃度合いを検証した結果、この辺りで体を下向きに押す力と頭を下に向かせる力が同時にピークとなっていました。
その上で、医学系専門家の見解では、身構えて首に力が入った状態であれば骨折するような事故にはなりにくいと考えられ、乗車姿勢などが関係する可能性も否定できないということです。
このため、専門部会は負傷した乗客はいずれも事故の際に身構えられておらず、施設側が案内する乗車姿勢をとっていなかった可能性が高いとしています。
これらを踏まえ、報告書では安全な乗車姿勢を保ち、身構えることの注意喚起を乗客に徹底するよう、コースターの所有者に周知することなどを国土交通省に対して意見しています。
富士急ハイランドの「ド・ドドンパ」は発車から1.56秒で時速180キロに達する急加速や世界最大級の大型ループで人気のジェットコースターでしたが、今年3月に営業を終了しています。