【大雨から1年】「そっとしておいてほしい」認定を臨まない人も…災害関連死について考える
去年7月の記録的大雨から1年。
避難生活の身体的な負担によって病気で死亡した場合などが該当する災害関連死ですが、遺族の中には必ずしも認定を望まない人もいます。
災害関連死は、遺族から市町村に申請することで認定に至るものです。
認められれば遺族に最大500万円、重い障害が残った場合も、最大で250万円の見舞金が支給されます。
秋田市では、広報誌やホームページで周知を図ってきました。
去年の記録的な大雨から1年。
今月、初めて2人が関連死と認定されましたが、秋田市は、まだ制度を知らない人や申請に踏み出せない人がいると考えています。
このため、相談が寄せられるのを待つだけではなく、社会福祉協議会と連携して、戸別訪問による制度の周知に力を入れることにしています。
秋田市 地域福祉推進室 東海林健 室長
「どこの病院に、とかっていうプライバシーの関連までを聞き取りの話になっていくものですから、まずは信頼関係を築き上げないと、そこまでお話してくれないっていう方々もいらっしゃいますので、まずはそういう顔の見える関係を築き上げると」
秋田市は、今後も具体的な期限を設けることなく、申請を受け付けることにしています。
決して一様ではない、家族を亡くした人の思い。
自宅が床上まで水に浸かった秋田市の女性は、生活再建の最中に、夫を亡くしました。
女性
「(旅行の)計画を立てるのが大好きな人で、自分で立ててこうこう、いついつの日こうしてこう、こういうふうな感じで行くからなってやるわけ。まずついていくけど。仕方ないね。んだからまずあっちこっちは旅行連れて行ってもらったし、あいだけども…」
浸水被害に遭ったあとも、夫は弱音を吐かず「なんともない」と気丈に振る舞い、妻の体調の方を気にかけていました。
女性
「水についた道具。歩道のところにずっと出したものね、運ぶために。がっかりしたんだろうね。歩くのになんか…父さん足もつれておかしいんでねのって言って、なんともないって言ったけど、なんぼか自分では衰え感じてたのかな。しょげてたったからね」
浸水被害のため、夫婦は2階での生活を余儀なくされます。
トイレに行く度に、1階とを往復していました。
不自由な生活が続くこと半月。
ある日、夫は夜中に階段を下りる際、足を踏み外して転倒しました。
頭を強く打ち、その後、帰らぬ人となりました。
被災後の環境の変化によって体に負担がかかり、けがをした夫。
災害関連死にあたる可能性があります。
―災害関連死に申請しようというつもりは?
女性
「ないです、私はね…。そこまではしたくない…お父さんの寿命だと思って、私はそっとしておいてほしい」
家族は残された人の胸にずっと生き続けます。
女性
「今年だったら暑いからあれでない?仏さんも大変だろ?あんまり感じないかしら、亡くなった人はな。生きてる人の方が大変なんだけど、でもね、あんまりくよくよしてもしょうがないから、毎日寂しくなれば仏壇に語りかけている」
けがや病気だけではなく、心への負担が原因になることもある、災害関連死。
近年の災害では、認定された人のうち1割あまりが、被災して1年以上経ってから亡くなっています。